こんにちは!内科医のHです。
この記事は、「10年以上にわたり、英会話習得のために多数の勉強法を試しては挫折してきた私が、最近やっと気づいた効果的な英会話習得法」についてお話しするものです。
私が英会話の勉強に取り組み始めたのは、10数年前の、大学生になった頃でした。
しかし、それまでどっぷり受験英語用の勉強しかしてこなかったため、「話す」ために必要な英語の学習法というものがわからず、気づけば10年以上試行錯誤してきました。
エイミ先生とのレッスンの中で、ポロリと私の英語学習遍歴をお話したところ、大変興味をもっていただき、ぜひ記事にまとめてみては、とご提案いただいたので、これまでの長い迷走過程を思い出しつつ、書いてみることにしました。
第一章:私がはまった英会話習得失敗の4つの沼
思い返せば、これまで本当に数多の英語学習関連の教材、サービス、アプリを試してきました。
この十数年を振り返ってみて気づいたことは、英語学習の失敗は主に、以下の4つのパターンに分類されるということです。
この記事を読まれている皆さんも、どれかに共感いただけるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
① How to難民の沼 〜「勉強法の勉強」を終えるのはいつ?〜
英語学習を始めたころ、受験英語と英会話のための勉強方法が違うことはなんとなくわかっていたので、英会話のための勉強方法を勉強する ところから始めました。
本屋さんに行くと、たくさんならんでいる英会話学習のHow to本を買い漁り、インターネットでも、英語が話せるようになった人のホームページやブログを読み漁り、YouTube(最近はもっぱらこれです)では、英語系YouTuberさんの動画を見漁り…。
これは!と思う方法を試しては、継続できなかったり、効果を感じずやめてしまったり、もっとよい方法があるのではと、また英語学習方法の学習に戻ったり…。
このことを本当に最近まで、なんなら今でも(笑)繰り返しています。
方法を学んでも、それを実践できなければ本末転倒…とわかっていても、なかなかこのループから抜け出せませんでしたが、たくさん学習法を学習したからこそ、英語を話せるようになった方の共通点がわかり、後述する効果的な学習法に気づくきっかけになったので、無駄ではなかった…と信じています。
② 教材コレクターの沼 〜いつか運命の教材に巡り会えるはず…!〜
教材は本当にいろんなものを試しました。
家の本棚は、以下のものがずらりと並び、本屋さんの英語学習コーナーに匹敵するのではと思う品揃えです。
・聞き流す系の教材
・音読本
・発音教本
・英語日記
・英語のまんが
・英語の絵本
・いろんな有名どころの文法書、フレーズ集、単語帳、英会話アプリ、etc…
とあるブログでこの単語帳がよいと書いてあればそれを買い、英語系YouTuberさんがおすすめする文法書があればそれを買い…SNSで英会話アプリの広告をみてダウンロードし…。
「この教材を極めれば私も英語がペラペラになる!」
と長年信じて、いろいろなものを購入してきました。
しかし、どれもマスターできたものはありません。
これまでは、なぜマスターできなかったのかを深く考えず、「きっと自分に合った教材にそのうち巡り会える」という幻想をいだいて、いろいろなものを虫食い状態で取り組んできました。
しかし、重要なのは、「なぜマスターできないか」を深堀りすることだったのです。
これも、後半の効果的な学習法のところで詳細をお話したいと思います。
③ バランス迷子の沼 〜分析も方向性もないまま同じ場所をグルグル〜
「教材コレクター沼」にはまった私ですが、たくさん教材があるのに、いつも1点集中する癖があり、文法書をやっているときはひたすら文法を学び練習問題を解き、単語帳をやり始めたらひたすら単語を覚え、音読教材はひたすらシャドーイングして…という状態でした。
「How to沼」にもはまっていた私は、英語のスキルは「話す・聞く・読む・書く」の4つがあり、英語学習の基礎は「発音・単語・文法」で、インプットとアウトプットをバランス良くが大切、であることは知っていました。
知ってはいましたが、勉強する際に、どの教材が何に効いて、自分は何が足りないのか、ということは分析していませんでした。
「アウトプットは独り言英会話でやりましょう」とYouTubeで情報を仕入れ、一人で英語を話してみるも、
「I’m brushing my teeth.」から一向に進歩しないけどこれでいいのか?
シャドーイングってアウトプット?インプット?
と疑問が浮かび、わからないからHow to沼にもう一回ダイブ!という堂々巡りを繰り返していました。
④ 他力本願コーチング沼〜思考停止で指示待ち学習〜
ついに最後の沼です。
①〜③の沼にはまりつづけて10年、ついに私の自己肯定感はこれ以上ないほど低下しました。
これまで、いつかきっと自分に合った勉強法に巡り会えるはず!と燃やしていた情熱も燃料切れ気味になり、
「この学習法よさそう。…でもどうせまた3日坊主。。。」
と考えるように。
ここで、このままではいけないと、話題のオンライン英会話コーチングに申し込むことにしました。
高額ですが、コーチがいれば自分に合った勉強法を教えてもらえるだろうし、強制力もあるから継続できるだろうし、ここは自己投資!最後の手段だ!と清水の舞台から飛び降りる気持ちでコーチングをお願いしました。
カウンセリングを受け、コーチ指定の教材に取り組み、日々の課題をがんばって提出し、コーチングを受ける前より、学習時間はもちろん増えました。
しかし、忙しい日々で課題を提出するうちに、私は課題を「こなす」ようになりました。
そして、少しだけ気づいていたのです、教材の内容が、使う予定のない旅行英会話であることへの違和感に。
見かけ上は順調にプログラムを消化する日々、課題の出来は悪くないが、月に何度かあるネイティブとのオンライン英会話レッスンでは、80%以上先生が話し、私は相槌を打つばかり…。
たまに自分のターンがきても話したいことが英語で出てこず、ブロークンイングリッシュでなんとか意思疎通…。
「プログラムの後半になればこういう状態も改善してくる」と励まされながら、なんとか3ヶ月のコーチング期間を終えたものの、結局、当初夢見た英語ペラペラには程遠い状態で終了しました。
以上が、私がはまった「4つの沼」です。
長々と私の失敗談をお読みいただきありがとうございました。
どれか共感いただけたものはあったでしょうか?
第二章:なんとなく見えてきた「自分に合った」学習方法
10年以上、各沼にどっぷりはまっていた私ですが、最近になってようやく少しの活路を見出しました。
最後の手段と思っていたコーチングでも期待する効果を得られず、実はしばらく英語と距離をおいていた時期もありました。
しかし、国際学会で英語で発表した際に、質疑応答で惨憺たる結果になったことで、やっぱり英語必要ですよね…と思い直します。
得意のネットサーフィングをしていたところエイミ先生のホームページを発見し、「英語の学会発表」とピンポイントなニーズに答えてくれる先生の存在に、即メルマガ登録し、レッスン募集の案内が届くやいなや申し込みました。
エイミ先生にレッスンをお願いして、はや2年が経ちますが、エイミ先生とのレッスンを通して、「伴走者がいると継続できる」のはやはり事実であること、そして「正しい方法で継続すれば上達すること」、「英会話にもいろいろジャンルがあること」に気づいていきました。
実は勉強法の勉強は、エイミ先生と出会ったあとも、もはや趣味のように続けており、相変わらず英語系YouTuberの動画やSNSをパトロールする日々で、最近は第二言語習得論的なものにまで手をだしていますが、積み重ねた失敗と趣味の勉強方法の勉強から、つい最近、下記のひとつの答えにたどり着きました。
第三章:失敗の原因になっていた「英語学習の壁」とその解決法
① 「自分の英語」って?
コーチングで私はひたすら旅行先でホテルにチェックインする英語、飛行機内のアナウンス、レストランでの注文を練習しました。
しかし私は閉所・高所恐怖症で、飛行機が大変苦手なので、海外に行く予定はありません。
ビジネス英語の教材に取り組んだこともありましたが、「上半期の売上が30%アップしました」というフレーズはいつ使うのだろうか と思いながら、シャドーイングしていました。
Netflixで若者がたくさん出てくる海外ドラマも見ましたが、私には、スラングを披露できる気のおけない英語圏の友人はまだいません。
何が言いたいかというと、これまで「自分が話したい英語」を考えていなかったことに気づきました。
「ペラペラになる」前に、今まさに話したいと思っている、話す必要があるジャンルの英語から学ぶのが近道であることに気づきました。
それによって、丁寧な英語が必要なのか、よく使うフレーズ、単語が絞り込めます。
私の場合、
「国際学会で英語で質疑応答に対応する」
「英語圏からくる留学生に症例の説明や病院内の案内を英語でしたい」
でしたが、みなさんの話したい英語は、どんなシーンで、誰と話すのでしょうか?
② 「また継続できなかった…」で終わらない!なぜなぜ分析で原因解明
自動車メーカーのトヨタで生み出された「なぜなぜ分析」をご存知でしょうか?
問題やトラブルが発生した際に、「なぜ」を5回以上繰り返して原因究明する方法だそうです。(YouTubeで学びました)
今までは、継続できなかったのは「自分の意思の問題」、もしくは「教材との相性」ぐらいにしか考えていませんでしたが、改めて継続できない理由を考えてみたところ、私の場合、数ある失敗にはある共通点がありました。
それは、
1.「仕事が忙しくなると英語学習の優先度がさがり、そのうち有耶無耶になり、習慣が途切れる」
2.「英語学習の時間を根性で捻出しようとして失敗」
3.「何を目的とした学習なのかよく考えずにスタートし、何に効いているかがわからず途中で不安になり、他に目移り」
の3点でした。原因がわかったので、あとは一つずつ解決策を探しました。
③ 習慣化のカギは?
どんな方法でも、継続すれば効果がある!と言うものの、その継続が最も難しいと感じていました。
私の場合、「英語学習の時間を根性で捻出しようとして失敗」という経緯から、新たに学習時間を設けることを諦め、普段している習慣にくっつけることにしました。
まずは「通勤中にできること」と決め、そこから通勤中にやりやすく、自分に必要な英語で、自分に足りないスキルである「英語を組み立てる力」を養えそうな内容を考えることにしました。
また、「仕事が忙しくなると英語学習の優先度がさがり、そのうち有耶無耶に…」については、あらかじめ「この期間は学会出張があるから時間確保が難しい」と予測しておき、挽回日を設けたり、忙しくても5分だけやったらOKというように継続の糸を切らさない工夫を行うことにしました。
継続は時間管理だけでなく、メンタルケアも要です。
自分をがっかりさせずに、上手に自分の機嫌をとりながら続けていくことが大切です。
④ 自分に合った教材が見つからない?ないなら作ろう!AIの出番!
とある第二言語習得を一般の人向けにわかりやすく解説した本に、「話すための英語学習には98%理解できる教材を使用するのがおすすめ」と書いてありました。
自分が98%理解できて、話したい英語の内容で、通勤中に繰り返し聞きたいから音声にすると長くても2、3分ぐらいで…と考えながら、私の英語教材コレクションの棚を漁ってみたものの、ぴったりの教材が見つかりませんでした。
そこで、ひらめいたのが流行りのAIです。
AIに自分が求めるオリジナル教材を作ってもらうことにしました。
以下が私が教材を作成した際の流れです。
1. 自分に最適な英語レベルを確認する。
まず、「自分が98%理解できる英語」というのがCEFR(セファール・世界共通で利用されている英語運用能力を計る指標)のどのレベルなのか確認するために、chatGPTにA1からB2まで例文を作成してもらいました。それを読んでいき、「だいたいA2ぐらいが適切だな」と見当をつけました。
2.chatGPTに英文を作成してもらう。
次に、chatGPTに下記のようなプロンプトを出し、英文作成をお願いしました。
「CEFR A2レベル、50〜75単語で英文を作成してください。英文は以下の5つのテーマをそれぞれ作成してください。①医学留学生との初対面の日 ②同僚との昼食中 ③余暇の過ごし方 ④AIと英語学習 ⑤不明熱の鑑別」
3.英文に自然な音声を付ける。
できた英文の音声が欲しいので、「Natural Reader」という、こちらも無料の音声生成AIを使用し、生成された英文をサイトにコピペ、好きな声質のAIを選んで音声を生成しました。
これでオリジナル教材の完成です!
ここから、
✓ この英文をまずは音声のみで聞く。
✓ 聞き取れなかったところを確認する。
✓ 知らない単語の学習(2%ぐらいはあるはず)。
✓ 文法・発音の確認。
✓ その後、何回か音読。
✓ 使えそうなフレーズを抜き出して単語帳アプリなどにストック。
✓ フレーズを応用して言い換えてみる。
✓ 英文を作成したテーマについて、英文をもとに自分でしゃべってみる。
など、一つの教材をとことん使い倒しながら、インプット・アウトプットをバランスよく練習する学習法を、現在実践中です。
自分用に作った教材なので、「これはそのうち絶対話す場面が訪れるな」というフレーズが多く、自分が話している場面も想像しやすいため、既製品より身につく気がしています。
そして覚えたフレーズなどは、これまたchatGPTのボイスチャット機能を使って英会話の練習相手になってもらい使ってみる、ということもしています。
これで自信がついたら、過去に挫折したオンライン英会話に再度挑戦してみたいな、とひそかに目論んでいます。
「英語学習の壁とその解決法」まとめ
① How to難民の沼、教材コレクターの沼、 バランス迷子の沼、他力本願コーチング沼などにはまりこんでいませんか?
これらの沼にはまったまま長年経過すると、その間は英語ペラペラにはなれません。時間を使いすぎるのはもったいないかもしれません。
② 自分が話したい英語にフォーカスすることが重要である。
「医学留学生との初対面の日」の会話が出来るようになりたいのに、「旅行英会話」や「ビジネス英会話」を選択するのは、大きな遠回りになります。
③ 継続できなかった理由を「なぜなぜ分析」で視覚化する。
ぼんやりと自己責任にして終わるのではなく、なぜを繰り返して「見える化」すれば、解決策も見えてきます。
④ 習慣化の工夫が鍵となる。
「学習時間の捻出が難しいなら通勤時間を活用する」、「それも難しい激務の時は、先回りして挽回日を設ける」など、自分なりに考えてみることがお勧めです。
⑤ 自作教材×AIという新しい選択肢を活用する。
英語学習者にとって、本当に良い時代になりました。
ここまで長文をお読みいただきありがとうございました!
英語学習に10年以上迷い続け、何度も沼にハマりながらも、ようやく「自分に合った学び方」が見えてきました。
大切なのは、「自分にとって必要な英語は何か」を明確にし、
それに合った方法で、無理なく続けることです。
完璧じゃなくてもいいんです。
進みがゆっくりでも、昨日より一歩前に進んでいれば、それが前進です。
これまでの失敗も、試行錯誤も、すべては今の自分にたどり着くための大切なステップだったと思います。
もしあなたが今、どの沼にハマっているとしても、大丈夫。
抜け出すヒントは、きっとあなたの中にあります。
これからも、等身大の英語学習を一緒に続けていきましょう。
また進捗があったら、ここで報告しますね!