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【第82回】スタンフォード大学研究者の著書から学ぶ発表に役立ちそうな英語表現

投稿日:2022年9月6日 更新日:

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今回は「スタンフォード式人生を変える運動の科学(原題:The Joy of Movement)」という2020年発刊のベストセラー本を日本語と英語で交互に読み、英語学習していきます。

この本から ネイティブの一流研究者がどんな英語表現を使って研究結果を伝えるのか というようなところを、書籍の中のごく一部にはなりますが皆さんにシェアできたらなと思っています!

Dr.レン

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最初に著者の名前の発音を確認しよう

エイミ

こんにちは!

医学英語発音コーチのエイミです。

 

本書のタイトルは日本語では「スタンフォード式人生を変える運動の科学」、英語では The Joy of Movement です。

“身体を動かすことがもたらす喜び” ということで、シンプルでわかりやすいですね。

最初に著者の方のお名前の発音を確認したいと思います。

カタカナではケリー・マクゴニガルさんですが、英語では

Kelly McGonigal

リ マクニゴウ

[keli mkgá:nəgl]

のように発音します。

(これだけでもかなり難しいです!)

スタンフォード大学のサイトにご本人が挨拶されている動画がありましたので聞いてみましょう。

 

◆ 「こんにちは、ケリー・マクゴニガルです」

こんにちは、ケリー・マクゴニガルです。スタンフォード大学で健康心理学者をしており、The will Power Instinct(スタンフォードの自分を変える教室)の著者です。

Hi, I’m Kelly McGonigal. I’m a health psychologist at Stanford and the auther of The Will Power Instinct.

Stanford Open Office Hours: Kelly McGonigal  冒頭)

 

ということで、ケリー・マクゴニガルさんのお名前の発音は

Kelly McGonigal

リ マクニゴウ

でした!

 

運動によって分泌される脳内物質について

さてケリーさんは今回の本の中で、まず運動が体に与える影響について科学的に述べていきます。

いわく、心拍数がやや上がる程度のきつめの運動を20分以上続けると、エンドルフィンや内因性カンナビノイドという名前のハイになるタイプの脳内化学物質が私たちの脳内で分泌されるそうです。

この運動するとハイになる現象は「ランナーズ・ハイ」という言葉で一般的ですね。

本書では特に内因性カンナビノイドという物質の方に焦点が当てられ、アリゾナ大学の人類学者、デイビッド・ライクレンさんという方の研究に言及されています。

内因性カンナビノイドは「苦痛を緩和し気分を高揚させる」麻薬にとてもよく似た作用を持つもので、ライクレンさんは「運動による高揚感にはエンドルフィンより内因性カンナビノイドの方が関わりが深いのではないか?」と考え研究を行います。

それでは今お話しした内容を日本語と英語で一部読んでいきます。

英語の勉強しましょう~!

 

それまでランナーズハイはエンドルフィンの作用によるものと推測され、

Scientists have long speculated that endorphins are behind the runner’s high,

高強度運動はエンドルフィンの作用を引き起こすことが研究でも明らかになっていた。

and studies show that high-intensity exercise causes an endorphin rush.

● behind   原因として背後や背景にあって。

● rush   勢いよく出ること。急増。分泌から起こる作用。

↑ここでは「B は A によって生じている」という文脈で A is behind B. が使われています。

“ランナーズハイはエンドルフィンによって生じている。”

“エンドルフィンがランナーズハイを引き起こしている。”

Endorphins are behind the runner’s high.

 

だがライクレンの頭の中にあったのは

But Raichlen had in mind another candidate,

「内因性カンナビノイド」というもう一つの脳内化学物質と運動との関連性だった。

a class of brain chemicals called endocannabinoids. 

● have in mind A   Aが頭に浮かんでいる。

● candidate   人に対して候補者、応募者の意味でよく使われる単語だが、ここでは「可能性」。「候補」。

● a class of = a kind of   ~の一種。

↑この文では

これはどうだろう?という別の候補(選択肢、可能性)が頭の中で浮かんでいる

という意味で

have in mind another candidate 

という表現が出てきました。

candidate は人に対して使われるのを私は良く見聞きするのですが、ここでは脳内物質の「候補」として使われていたことが新鮮に感じました。

“ライクレンの頭の中には別の可能性が浮かんでいた。”

Raichlen had in mind another candidate.

 

それら(内因性カンナビノイド)は(エンドルフィンと)同じく化学物質であり、麻薬やマリファナと同様の作用を持つ。

These are the same chemicals mimicked by cannabis, or marijuana. 

痛みを軽減し、気分を高揚させる。

Endocannabinoids alleviate pain and boost mood.

● cannabis/kǽnəbɪs/   大麻全体を指す語。マリファナはカンナビスの一種。

● mimicked by A   Aと同様の作用を持つ。Aの擬似物質である。

● alleviate   苦痛などを一時的に軽減させる。

↑ここからは「A は B と同様の働きをする」「A は B の擬似物質である」という意味合いの A is mimicked by B. に注目してみたいと思います。

“それらはカンナビス(麻薬)と同じ働きをする。”

These are mimicked by cannabis.

cannabis という単語は麻薬を総括的に指す言葉ということですが、内因性カンナビノイドと明らかに言葉としてのつながりが見られますね。

cannabis を知っている方なら endocannabinoids 自体を知らなくとも「麻薬となんらかの関連がある語なのかな」と推測出来そうです。

さて、運動をすると出る内因性カンナビノイドは麻薬と同じような働きをするものであり、運動をするとドラッグ使用時と同じくらい気分が良くなることがある とのこと、ランニングなどが趣味だという方はピンとくるでしょうか?

私自身は歩くのが趣味であまり走らないものの、走っている方を見ると表情に相当な気分の昂揚が見えることはよくあり、とても納得感があります

 

運動すると DBS 治療を受けたのと同等の作用がある

(↑グレイズ・アナトミーの DBS 治療場面より)

続いて本書では、運動の効果として「うつの発症を防ぐ作用がある」ということも述べられています

このこと自体はまあそうだろうねと思えてしまうことかもしれないんですけれど、それを伝えるための著者の言葉がすごい~と思ったのでご紹介します。

 

運動は自分でできる脳深部刺激と考えることができるだろう。

One way to think about exercise is that it is a kind of do-it-yourself deep brain stimulation. 

運動している時、あなたは脳の報酬系に自分で低電圧刺激を供給しているのだ。

When you exercise, you provide a low-dose jolt to the brain’s reward centers.

● jolt /dʒoʊlt/   刺激を与えるもの。

● the brain’s reward centers 幸福感を感じる脳の作用。報酬系。

 

↑なんと運動は自分でできる DBS だそうなんですが本当ですか。

DBS はパーキンソン病の治療に使われる外科的治療法だということで、前にある先生から教えて頂いたことがあります。

それが本書によるとうつの治療にもDBSが行われることがあると書かれており、そして運動はDBSをするのと同じ程度の効果すらもたらすということです。

運動がメンタルに良いよ、と言われても「はいはい」と思ってしまいそうですが、

「脳内に電極を入れて電気で刺激を与える治療と同じくらい効果があるんだよ」

と言われると、さすがに運動したくなる、か、怖っ!となるか…。

英語学習の面からは

「A はある意味でBだと言えるでしょう。」

One way to think about A is that it is (a kind of) B.

の表現に注目してみたいと思います。

“運動は自分でできる脳深部刺激と考えることができるだろう。”

One way to think about exercise is that it is a kind of do-it-yourself deep brain stimulation. 

 

今回記事にしたら長くなりすぎたので一旦ここまでとします。

ポッドキャストでも一緒に学習しましょう!

 

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今回のまとめ

今回はスタンフォード大学の研究者であるケリー・マクゴニガルさんの「スタンフォード式人生を変える運動の科学(The Joy of Movement)」を日本語と英語で交互に読み、英語学習をしていきました。

注目した英語表現をまとめます。

これまでランナーズハイはエンドルフィンの作用によるものと推測されていた。

Scientists have long speculated that endorphins are behind the runner’s high.

だがライクレンの頭の中には別の物質が候補としてが浮かんでいた。

But Raichlen had in mind another candidate.

それら(内因性カンナビノイド)は(エンドルフィンと)同じく化学物質であり、麻薬やマリファナと同様の作用を持つ。

These are the same chemicals mimicked by cannabis, or marijuana. 

運動は自分でできる脳深部刺激と考えることができるだろう。

One way to think about exercise is that it is a kind of do-it-yourself deep brain stimulation. 

 

ポッドキャストではもう少し先までご紹介したのですが、記事が長くなりすぎたので続きは次の記事にまとめようと思います。

それではまた一緒に英語学習しましょう!

次の記事 >>

 

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エイミ
医療英会話の発音とリスニングの専門家。英検、OET、学会発表、外来での診療英会話、舌トレなどのオンラインレッスンを提供中。20代後半から英会話習得をスタートし、最初は「センキュー」以外一言も話せない英語音痴だった。日本人にとっての理解しやすさを追求した解説と「トレーニングは楽しく!」が信条。ERが大好き。University of Baguio, Associate in Hotel and Restaurant Management卒。TOEIC 935点。

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