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【第117回】医学論文で英語の音読練習 3

投稿日:2023年8月22日 更新日:

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今回は ジャーナルに掲載されている医学論文の TAKE-HOME MESSAGE を音読し、発音を良くする練習 をしていきます。

論文の内容はこのような感じです。

「アテローム性動脈硬化症の長期発症リスクについて、深刻な精神疾患を持つ患者群と持たない患者群を比較した結果」

医療英語の発音をぜひご一緒に練習しましょう!

 

Dr.サトシ

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今回の TAKE-HOME MESSAGE の内容

エイミ

こんにちは!

医学英語発音コーチのエイミです。

 

◆ 今回の練習題材 TAKE-HOME MESSAGE 後半(生徒さんから練習オーダーを頂いたもの)

・In this randomized observational analysis of more than 590,000 patients without prevalent atherosclerotic cardiovascular disease (ASCVD), 10- and 30-year ASCVD risks were found to be substantially higher among patients with serious mental illness (SMI; bipolar disorder, schizophrenia, or schizoaffective disorder) compared with patients without SMI,  after multivariable adjustment (P < .0001).

広く蔓延しているアテローム性動脈硬化症(ASCVD)を持たない59万人以上の患者によるこの無作為抽出の観察分析において、多変量調整ののち(P値は0.0001未満)、ASCVDの10年及び30年の発症リスクが、深刻な精神疾患(SMI;双極性障害、統合失調症、統合失調性感情障害)を持たない患者群と比較して、SMIを持つ患者群の方が差を持って高いことが見られた。

※和訳は非医療者のエイミによるものです。違和感を感じられる表現がありましたら申し訳ございません。

 

今回とても長い文で、発音の難しい医療系英単語もたくさん出てきます。

ポッドキャストを録音する前に私自身もすごく練習しました。

特に “atherosclerotic”(アテローム性動脈硬化)は言いにくく、50回は練習したと思います。

皆さんに発音のコツをお伝え出来るよう、カタカナも交えて解説していきますので、大変ですがぜひ一緒に頑張りましょう!

 

【英文音読の基本のポイント】

・声はお腹から出し、腹筋を使います。

・喉は広く開き、舌先は「下前歯の内側」をホームポジションとします。

・キーワードとなる語や発音が難しい語などは、単語レベルに短く切って繰り返し練習 し、その後文に入れて練習するとうまくいきます!

 

一つ目のコンマまでの練習

  • In this randomized observational analysis of more than 590,000 patients without prevalent atherosclerotic cardiovascular disease (ASCVD),

★ワードチェックと和訳★

・randomized observational analysis 無作為抽出の観察分析。

・prevalent [prév(ə)lənt](形) 発音は プレヴァレンt。世の中に広く行きわたっている。蔓延、流行している。

・atherosclerotic cardiovascular disease アテローム性動脈硬化症。略称はASCVD。略称を音読する時には V(ヴィー)を「ブイ」と読まないように注意します。athero-[æ̀θərou] 粥腫(しゅくしゅ)の。かゆ状の。sclerotic[sklərɑ́tɪk]硬化症の。

「広く蔓延しているアテローム性動脈硬化症(ASCVD)を持たない59万人以上の患者によるこの無作為抽出の観察分析において、」

 

まずはここまで読んでいきます!

強弱のリズムをフォントの大小で示すとこんな感じです。

In this randomized observational analysis of more than fivehundred ninety thousand patients without prevalent atherosclerotic cardiovascular disease (ASCVD),

“randomized observational analysis”「無作為抽出の観察分析」 は、山を3つ描くように発音します。

randomized observational analysis”

ンダマイズd オブサヴェイショノウ アナァリスィス

 

 続く “590,000 patients“「59万人」は、英語には万の単位がありませんので、「5百9十千人」と読みます。

more than fivehundred ninety thousand patients”

 

「アテローム性動脈硬化症」、すごく難しいですが、山を4つ描いて発音してみましょう!

atherosclerotic cardiovascular disease

セロ スクレディッ カーディオヴァスキュラ ディズィー

 

“ASCVD” のようなアルファベット略語は、最初と最後の文字に強勢を置いて読み、真ん中では音程を下げます。

ASCVD

エイエススィーヴィーディー

 

2つ目のコンマまでの練習

10- and 30-year ASCVD risks were found to be substantially higher among patients with serious mental illness (SMI; bipolar disorder, schizophrenia, or schizoaffective disorder) compared with patients without SMI,

★ワードチェックと和訳★

・10- and 30-year ASCVD risks ASCVD(アテローム性動脈硬化症)を今後10年及び30年間で発症するリスク。ハイフンにより形容詞化されています。10-year risk「10年(発症)リスク」。55-year-old male「55歳男性(患者)」。

・serious mental illness 重度の精神疾患。略称SMI。bipolar disorder「双極性障害」、 schizophrenia「統合失調症」、schizoaffective disorder「統合失調性感情障害」の総称。

bipolar [bɑ̀ıpóʊlər]    ウラー

・schizophrenia [skı́tsəfrı́ːniə]    スツォフリーニア

「ASCVDの10年及び30年の発症リスクが、深刻な精神疾患(SMI;双極性障害、統合失調症、統合失調性感情障害)を持たない患者群と比較して、SMIを持つ患者群の方が差を持って高いことが見られた。」

 

こちらはリズムを取るとこのような感じになります!

ten– and thirty-year ASCVD risks were found to be substantially higher among patients with serious mental illness (SMI; bipolar disorder, schizophrenia, or schizoaffective disorder) compared with patients without SMI,

 

統合失調症、schizophrenia の発音を確認しておきましょう。

カタカナでは「シゾ」「シゾフレニア」などの呼び名が多く流通しているかと思いますが、英語では

schizophrenia [skı́tsəfrı́ːniə] 

スキツォフリーニア

と発音します。

 

ピリオドまでの練習

after multivariable adjustment (P < .0001).

★ワードチェックと和訳★

・multivariable adjustment 直訳すると「多変量(数)調整」のようになると思いますが、もっといい和訳があるのかもしれません。

・P    P値。”Probability value” の省略形です。口述する時の読み方は P(ピー)、P value(ピーバリュー)、probability(プロバビリティ) などがあります。今回私は P(ピー)で読んでいます。

<YouTube動画より  上から”P value”、”Probability”、”P” それぞれで口述されている例>

・”<”   読み方は “is less than” となります。

「多変量調整ののち(P値は0.0001未満)、」

 

リズムを取るとこのような感じになります!

after multivariable adjustment (P is less than point zero zero zero one).

 

“multi” の読みは「マルチ」ではなく、“モウティ” のようになります。

multivariable

ウティヴァリエボウ

他に “multi” を “モウタイ” と読み、タイヴァリエボウ と言ってもOKです! 

 

今回の内容をポッドキャストでもどうぞ!

Dr.サトシ

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今回のまとめ

今回は、医学論文のTAKE-HOME MESSSGE を使った英語の発話練習をレッスンで行ったものをご紹介しました。

・略称を音読する時には V(ヴィー)を「ブイ」と読まないように注意します。

 ・「59万人」、英語には万の単位がないので「5百9十千人590,000 patients)」。

fivehundred ninety thousand patients”

・「アテローム性動脈硬化症」のような長い単語の連続では、リズムを強めにとり、強勢と非強勢とはっきりわけると発音しやすいです。

atherosclerotic cardiovascular disease

セロ スクレディッ カーディオヴァスキュラ ディズィーズ。

・統合失調症、schizophrenia の英語読みは スキツォフリーニア。

・P値を口述する時の読み方はP(ピー)、P value(ピーバリュー)、probability(プロバビリティ) など。

・”multi” の読みは「マルチ」ではなく、“モウティ” または “モウタイ”

 

今回は難単語の連続で、私も本当に難しく感じました。

口が回らない時は、50回、100回と、言えるようになるまで練習するしかないです。

100回やればかなりいいところまでいくはずです。

一緒に練習してくださったあなた、本当にお疲れ様でした!

これからもポッドキャストや無料メルマガで医療英語コンテンツを公開していきます。

また一緒に英語学習しましょう!

 

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エイミ
医療英会話の発音とリスニングの専門家。ER先生。舌トレ先生。英検先生。
20代後半から英会話習得をスタートし、最初は「センキュー」以外一言も話せない英語音痴だった。日本人にとっての理解しやすさを追求した解説と「トレーニングは楽しく!」が信条。ERが大好き。University of Baguio, Associate in Hotel and Restaurant Management卒。TOEIC 935点。

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