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40代で始めた「学び直し英会話」10年続いたので振り返ってまとめてみた

投稿日:2024年4月28日 更新日:

本記事を執筆している4月は、年度初めであり、新しいことを始めるにはいい時期で、そう思う人も多くいらっしゃると思います。

私は40代で始めた「学び直し英会話」を継続して、この春で10年が経ちました。

ここで初心にかえり、私が10年前の自分自身に、いま、伝えたいことなどをまとめてみたいと思います。

皆さんの「大人の英会話学び直し」に、何かお役立ていただければ幸いです。

 

国際学会での失敗から「学び直し」を始めた

Dr.レン

こんにちは、外科医のレンです。

今日は40代半ばから英会話を始めた私が

大人が英会話学習を成功させるには

こういうやり方が大切、

こういうマインドセットが大切

と思うことをお話ししていきます。

 

英会話学び直しを始めるまで、私は 英語論文は読めるけれど英会話力はゼロ という典型的な中年医師の一人でした。

(アイコンはかっこよく描いてもらっていますが、実際はただのおっさんです。)

そこから10年、今では英語で自然に学会発表がこなせるようになり、NHKの英語ニュースははっきりと聞き取れるようになりました。

「レン先生、これまで試してきた英会話学習の経験談について、記事を書いてもらえませんか。同年代の先生たちやこれから英会話を頑張られる先生たちにとって、何か参考になるはずなので」

と私の英語の先生、エイミ先生から声が掛かったことにより、おっさん頑張れシリーズ と題して、こちらで時々自分の経験を共有させていただいています。

10年前、医師という仕事柄、英語論文を読み書きする習慣が普段から多少あった私は、自信を持って学会のインターナショナルセッションでの発表、口述でのプレゼンテーションに臨みました。

しかしその結果は惨憺たるものでした。

そこで、発表を見に来ていた英語ができる上司に、

「先生、私、自分はもっと、できると思っていました…。やっぱり留学経験がないと先生のようにしっかり会話できるようにはなれないのですかねぇ?」

と落胆しつつ聞いてみたところ、「私は毎日コツコツとNHKのラジオ英会話で学習を続けていますよ。」ということを、その上司は初めて教えてくれました。

その学習も、ただ聞いているのではなく、テキストをきちんと買って、書き込みなどを行いながらやる、そして聞き逃したときはネットラジオで必ず聞いている。

留学経験だけで喋れるようになる、と思ったら大間違いである。

とのことでした。

わたしは普段、その上司と接していて、そんなことしているとは全く想像もしていませんでした。

「そんな、勉強しているのなら、隠してないで言ってくださいよ。」

というと、

こういうのをたしなみって言うんです。」

と切り返され、ぐうの音も出ず、そして、格好いいなとしみじみ思いました。

 

「英語学び直しを始める時の私」に、いま声を掛けるなら

そこで、私も本腰をいれて英語学習を始めようと思ったのです。

しかし、自信家の私は、おろかにも、会話は少し練習すればあっという間に上達し、学会の発表もスラスラ、質疑応答も難なくこなせるようになるだろう。外国ドラマも英語をそのまま聞き取って、楽しめるようになるだろう、と、とても、とても甘く考えていました。

そして、とにかく、がむしゃらにやろうと思ったのでした。

今の私がタイムマシンで10年前に戻り、その頃の私に英語学習についてアドバイスするならなんというだろう、と思ったとき、以下の様なことを考えます。

● 昭和の学習方法も完全に悪者ではない。新しいものと並行して使えばいい。

● 一見無駄に思えるような学習法でも、気になるなら何でも試し、そこから学びを得れば良い。

● 発音の基礎はやったほうがいい。そして「理屈」で学習すべき。

当時、いろいろなことを試しました。YouTube好きの私は、ネット上の情報をこれでもかとかき集めました。

英語系YouTubeを見まくり、昭和の時代の reading、writing、grammar だけの英語学習は不適切にもほどがあるぞ、こんなのでは全然ダメだ、と考え、過去のやり方を否定するようになりました。

そして、大学受験で行った英語学習法、たとえば「書いて単語を覚える」、「スペルをローマ字カタカナ読みで覚える」などを全否定して、日々目新しいものに飛びつき、試したりしました。

それを経て今思うことは、

昭和の方法が完全に悪いという訳ではなく、

時々取り入れてみたり、並行してやってみたりした方がいい。

と、過去の自分に言いたいと思います。

新しい単語に出くわして、スペルが覚えにくかったら、高校生の時のようにカタカナ読みしながら、何回も紙に書いて覚えるのも全く悪い方法ではない、と今は思っています。

また、一見無駄なような学習法にも手を出しました。

たとえば「英語の周波数で学習しよう」といったようなキャッチーなうたい文句の本に手をつけて、やめたこともありました。

あれは英会話力向上に直接は役に立たなかったかもしれませんが、当時の私に「そんなの無駄だからやめときなさい」とは言いません。

なぜなら、無駄だったと実感できるのは、いろんなことをやってみたからこそ「これは違う」と感じる感覚を身につけることができたと思うからです。

そして、これからも、ときどき繰り返したほうがいいと思う大切な学習は発音学習、リピートアフターミーでネイティブの後を繰り返すだけでない、理屈を使った発音学習です。

「発音の理屈」を理解する学習です。

40歳を超えてはじめた学習のなかで、「英語耳」などの学習書やフォニックスを使い、「発音の理屈」を身に付けたことは間違いなかったと実感しています。

その際私には、エイミ先生の発音コーチングがあったので、「英語耳」の字面を追うことだけに留まらず、発音を本当の意味で理解できたと実感できるところに至りました。

それに加えて、リスニング対策のディクテーション学習です。

エイミ先生のテキストを使い、発音を学びながら色々な英語コンテンツを使ったディクテーションを行ったことで、実践に活かせるように結びつけることができたと思います。

気がつけば10年間、よく続いたものです。

 

「短期目標」を「長期目標」のパーツにする

いま、当時の私に欠けていたなと思うのは、英語学習の目標がぼやけていたことです。

10年の間、その時々で、英語の学会発表、国際学会での司会、TOEIC、英検…など、目先の課題、短期の目標だけに囚われて、英語学習の最終的な目標、「どんな自分になりたいのか?」がなく、学習が場当たり的だった気がします。

いま、私にとっての英語学習の最終目的は何なのかを問い直すと、それは、

● かっこよくネイティブとコミュニケーションがとれるようになりたい。

● ドラマなど外国のコンテンツを、英語そのままで楽しみたい。

というのが本音です、しかしそれには、相当な努力が必要です。

「ネイティブとカッコ良く英会話」や「英語でドラマを楽しく…」なんかは、ちょっとやそっとでたどり着ける目標ではないので、ここだけを目標にすると厳しいです。

たどり着けず、諦めてしまう。

それではいけません。

ではどうするのかというと、それは、短期的な達成事項が長期的な目標のどのパーツになるのか考えるこだと思います。

例えば、

学会発表で練習したこの表現を、他の場面の会話で応用するにはどうしたら良いか」と考えてみる。

TOEIC試験対策で学んだことや、海外ドラマの中で使われていた台詞を、自分だったらこんな場面に使えるのではないか、などと思いを巡らせてみる

というようなことだと思います。

このような少し余裕を持った姿勢で学習を続けると、英語を「身につける」ことが出来るのではないかと思っています。

 

英語学習に費やす時間を「浪費」にしないために

人生の時間は有限です。

英語学習に費やす時間をただの浪費に終わらせないためには、とにかく、継続することが大切です。

到底達成不可能と考えられるような壮大な目標、無謀な目標だけを立ててしまうと、諦めてやめてしまうことに繋がります。

この4月という年度初めは、新しいことを始めるにはいい時期で、そう思う人も多くいらっしゃると思います。

コンビニの雑誌コーナーには、「学び直しの英会話」のようなことを話題にしたものがたくさん並びます。

折角やる気になってはじめても、私のように海外ドラマを英語で楽しむことを目指して、いきなり英語音声だけでドラマを見続けたりして、まったくうまく進まず、気がついたら日本語字幕でドラマの内容を楽しむことにシフトしてしまったりして…。

思うようにいかず、そこで英語学習をやめてしまっている学習者さんもおられると思います。

そうならないためには、

自分にとっての英語学習の目的をはっきりさせておくこと。

「長期的な目標」と「短期的な到達点」をつくること。

これを学習の記録をつけながら時折見直していくこと。

当たり前のことのようですが、これらがやはり大切だと思います。

また、独学に固執することはないと思います。

たとえば美術館に行った時、一人でみてまわると自分にとっての良さしか感じられませんが、ガイドさんに説明してもらいながら見ると、自分だけでは気づかなかった魅力を味わえます。

英語学習にも似たところがあると思います。

人に教えてもらうだけでなく、他の人と一緒に取り組むと、学習の面白さが倍増し、逆に難しさは軽減されます。

学習内容に深みが増すため、学習仲間がいると、英語学習はあなたの人生を色鮮やかに彩ってくれるものとなるのではないでしょうか。

 

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今回のまとめ

今回は「40代で始めた学び直しの英会話学習が継続して10年経ったので振り返ってみた」というテーマで記事を書きました。

本記事でお話しした内容のポイントをまとめます。

● 昭和の学習方法も完全に悪者ではない。新しいものと並行して使えばいい。

● 一見無駄に思えるような学習法でも、気になるなら何でも試し、そこから学びを得れば良い。

● 発音の基礎は学習した方がいい。大人はネイティブの後を付いて繰り返しているだけでは身に付かないので、学習書やフォニックスを活用し、「発音の理屈」を理解しましょう。

● 「ネイティブと会話が楽しめる」「海外ドラマが苦労なく楽しめる」のような目標を掲げがちですが、それは実はとても壮大な目標です。それだけでは挫折のもとになってしまうため、目の前に短期目標をつくり、それを長期目標のパーツにしていきましょう。

● 英会話は時間も手間暇もかけないと身に付かないもの。それだけに、大人の学び直し英会話学習を「時間の浪費」にしないためには、年単位で続けることが大切です。

気づけば私もいつの間にやら50代に足を踏み入れ、しばらく経ちました。

「学び直し英語」といっても、新しい発見もたくさんあった10年間でした。

私の学習体験の振り返りが、皆さんの「大人の英会話学び直し」に、何かお役に立てば幸いです。

 

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エイミ
医療英会話の発音とリスニングの専門家。英検、OET、学会発表、外来での診療英会話、舌トレなどのオンラインレッスンを提供中。20代後半から英会話習得をスタートし、最初は「センキュー」以外一言も話せない英語音痴だった。日本人にとっての理解しやすさを追求した解説と「トレーニングは楽しく!」が信条。ERが大好き。University of Baguio, Associate in Hotel and Restaurant Management卒。TOEIC 935点。

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