あれこれ ポッドキャスト

OETリスニング完全攻略:Sample Test1 Part A Extract1の英文をわかりやすく解説

投稿日:

この記事が役に立ったら、フォローお願いします!/

(アイコンをクリックで登録画面へ移動します)

 

Dr.レン

ラジオは通常速度で19分19秒だよ。
早く聞きたいあなたは倍速などでどうぞ!

アップルポッドキャストや Spotify で「エイミ」で検索!

 

OETリスニング Part A とは?

エイミ

こんにちは!

医学英語発音コーチのエイミです。

 

今回は、医師向けの国際的な英語試験、Occupational English Test(OET)のサンプルテスト1・リスニング・Part A・Extract 1(患者名:Ray Sands)を使って、ネイティブが医療現場で使う英語表現とそのニュアンスを解説していきます。

OETリスニング Part Aでは、診療場面のダイアログを聴き、カルテの空欄に適切な情報を書き取る「穴埋め問題」が出題されます。

医療専門用語や、患者の症状・治療・服薬情報などを正確に把握する力が求められるため、医療現場での英語コミュニケーション力を強化したい人に最適です

また、語彙力やリスニング力だけでなく、実際の医療現場で役立つ情報整理や要点把握のスキルも鍛えられます。

OETリスニングPart Aは、特に以下のような人に向いています。

・医療現場で使われる実践的な英語を学びたい人。

・医療従事者として海外で働きたい人や、医療英語力を証明したい人。

・患者と医療従事者の会話から、診療記録に必要な情報を正確に聞き取る力を身につけたい人。

 

OETは、受験予定のお医者様はもちろんのこと、医療英語の実力を上げたいお医者様には最適な学習教材の一つです。

エイミ

OET公式模試には英語の全文文字起こしが提供されていますが、

和訳は用意されていません。

AI に和訳をしてもらっても、

日本人がニュアンスを掴みにくい箇所がどうしてもあります。

そのモヤモヤを潰すことが、英語上級者への道です。

OETには、ERに出てくる表現もたくさん登場します。

ERオタクとして、医療英語のニュアンスを重点的に解説していきます!

 

OETサンプルテストL「レイ・サンズ」の冒頭1分全文と日本語訳

 

 

理学療法士:どうぞお入りください。サンズさんですね。

Come in. Mr. Sands, isn’t it?

 

新規患者はい、レイ・サンズです。

Uh, that’s right. Uh, Ray Sands.

 

理学療法士:今回は、坐骨神経痛で、こちらへ紹介されたということですね。

Now, I think you’ve been referred to me because you’re suffering from sciatica?

 

レイ・サンズそうです。坐骨神経痛は、初めてではないんですが。

Uh, that’s right. Not for the first time, actually.

 

理学療法士:わかりました。では、ここに書類はあるんですけれども、以前、坐骨神経痛の症状があった時のことを、ご自分の言葉で教えてもらえますか? どんな治療を受けたかとか、何が効いたかとか、なんでも覚えておられることを。

OK, well, I’ve got some notes here, but perhaps you can tell me, in your own words, about any previous bouts of sciatica you’ve had, um, what treatment you had, what worked for you, anything else you can remember.

 

レイ・サンズえーと、きっかけは、18ヶ月(1年半)ほど前に背中を痛めたことでした。人の重いスーツケースを動かすのを手伝ったら、腰がガクッとなってしまったんです。そんな感じで始まりました。まぁその後、時々再発はあったものの、ゆっくりと回復したんですが、一年ほど前に突然、坐骨神経痛を発症してしまいました。完全に治るまで、半年かかりました。で、それがまた今、再発したんです。それが、そうだな、先月とかそれくらいかと思います。

Well, it all started when I hurt my back, oh, about eighteen months ago now. I was giving somebody a hand with a heavy suitcase and I felt it give out. You know, just like that. Anyway, I slowly got over that despite occasional flares, and then, out of the blue, about a year ago, sciatica developed. And it was six months till that finally cleared up altogether. Now it’s come back. In, well, the last month or so, I’d say.

 

重要英単語・フレーズの理解度テスト

ここで、読者の皆様へ、OETサンプルテスト1・リスニング・Part A・Extract 1(患者名:Ray Sands)に出てくる重要英語表現で、小テストをお出しします。

 

Dr.レン

以下の英語の和訳にチャレンジしてみましょう!

いくつわかるでしょうか?

 

◆ OETサンプルテスト1・リスニング・Part A・Extract 1 理解度テスト

Q.1  bout  _____

Q.2  (日本語ではこれをどういうか、考えてみてください。)eighteen months ago  _____

Q.3    give SB a hand with STH   _____

Q.4  My back gave out.  _____

Q.5 (医療の文脈で)I got over A.  _____

Q.6 (医療の文脈で、名詞・動詞で) flare  _____

Q.7 It was six months till that finally cleared up altogether.    _____

Q.8 in the last month or so  _____

Q.9 ~, I’d say.  _____

 

答えは以下の「解説」の最後にまとめます。

 

重要単語・フレーズの解説

ここから、OETサンプルテスト1・リスニング・Part A・Extract 1(患者名:Ray Sands)の冒頭1分間に出てくる重要英語表現を解説していきます。

理学療法士:OK, well, I’ve got some notes here, but perhaps you can tell me, in your own words, about any previous bouts of sciatica you’ve had, um, what treatment you had, what worked for you, anything else you can remember.

では、ここに書類はあるんですけれども、以前、坐骨神経痛の症状があった時のことを、ご自分の言葉で教えてもらえますか? どんな治療を受けたかとか、何が効いたかとか、なんでも覚えておられることを。

◆ Perhaps you can DO. 「〜してもらえればと思います」。Could you tell me…? よりもややフォーマルで、丁寧な響きがあります。

◆ note (n.)  通常は「メモ」の意味で使いますが、正式な記録や書類のことも note ということがあります。

◆ bout /baʊt/  「バウト」と発音し、「症状1回の発生」を意味する名詞です。一発作。bouts と複数形にし、週に何回発作が起こったかを伝えたりするのに使います。ERから使用例を一つご紹介します。

Dr. ウィーバー:(CT撮影は)1500ドルもする検査よ。

It’s 1500 dollar procedure.

Dr. ルイス:患者は聴神経腫瘍の疑いがあるの。めまいを週に5回も起こしているから。

I have to rule out acrostic neuroma. He’s had five bouts of dizziness in a week.

● five bouts of dizziness  眩暈の発作を5回。

 

レイ・サンズ:Well, it all started when I hurt my back, oh, about eighteen months ago now. I was giving somebody a hand with a heavy suitcase and I felt it give out. You know, just like that.

えーと、きっかけは、18ヶ月(1年半)ほど前に腰を痛めたことでした。人の重いスーツケースを動かすのを手伝ったら、腰がガクッとなってしまったんです。そんな感じで始まりましたね。

◆ my back  胴体の後ろ側の「首の付け根から腰まで」の広い範囲、背骨に沿った背中全体が back です。文脈によって部位が狭まります。ここでは「腰」と考えると良さそうです。

◆ It all started when… 全てはここから始まった。きっかけは〜だった。という構文です。「今起きている症状や困り事やのすべては、私が腰を痛めた時に始まりました」。

◆ eighteen months ago 「18ヶ月前」が直訳ですが、つまり「1年半前」です。同じ意味で a year and a half ago と言っても問題ありませんが、「1年半」を「18ヶ月(eighteen months)」と言うことは、英語では一般的です。

◆ give SB a hand with STH  「誰々の何々を手伝う」という表現です。

◆ feel A do  「(主語が)Aが~するのを感じる」。

◆ give out  この句動詞は、医療の文脈では主に「腰や膝がガクッとなる」「(身体不良で)腰が抜ける」という意味合いで使われます。give out の中核イメージは「外へ出す、放出する」です。一般的には give out cards「ポイントカードを発行する」などの文脈で使われます。ここでは「腰の力を放出して、尽きてしまった」のようなイメージです。例:Sometimes my knee gives out when I walk.(歩いている時に膝がガクッとなることがある。)

 

レイ・サンズ:Anyway, I slowly got over that despite occasional flares, and then, out of the blue, about a year ago, sciatica developed.

まぁその後、時々再発はあったものの、ゆっくりと良くなったんですが、1年ほど前に突然、坐骨神経痛を発症しました。

◆ get over A 「病気から回復する」。「乗り越える」「克服する」という意味合いの、一般的な表現です。recover from で言い換え可能ですが、get over の方がよりカジュアルで、幅広く使われます。

◆ flare (n.)(v.)  コアイメージは「熱・光の広がり」。医療文脈では「病気の再発」や「痛みの広がり、強まり、症状の悪化」を指し、度々使われます。「フレアスカート」や「太陽のフレア」のフレア。ERでは、以下のように、「病状が flare up しています」と患者さんに伝える場面がしばしば見られます。

Dr. グリーン:パーティーでお酒を飲んでタバコを吸ったので、潰瘍が悪くなったんです。どちらもやめていただく必要があります。

You have an ulcer which flared up today because you went to a party and drank and smoked. Both of which you’re gonna have to quit.

● flare up   病気が悪化する。

 

◆ out of the blue まったく突然に。blue は青空のこと。日本語の「青天の霹靂」と非常によく似た表現です。どちらも「まったく予期しないときに突然起こる出来事」や「思いがけない衝撃」を表し、英語でも「青空から突然(何かが起こる)」というイメージで使われます。

◆ Sciatica developed.  develop は、「良い事が発展する、良い事を発展させる」の意味合いで良く使われる動詞ですが、「悪い事案(問題・困難・病気など)が発生する、人が病気を発症する」の意味でも使われます。例:He developed problems with his eyesight.(彼は視力に問題が生じた。)

 

レイ・サンズ:And it was six months till that finally cleared up altogether. Now it’s come back. In, well, the last month or so, I’d say.

そして完全に治るまで半年かかりました。で、それが今、また再発したんです。それが、そうだな、先月くらいかと思います。

◆ It was (/took) X till SV.  「SがVするまでXの時間がかかった」という意味の構文です。It は形式主語です。

◆ clear up  病気が治る。病気を治す。例「喉が炎症を起こしてるけど、大丈夫だよ。すぐに治すからね。」 Well, you’ve got a little strep throat there, Jimmy. But don’t worry. We’ll clear that right up. 

◆ altogether  文尾に付けて「完全に」。

◆ ~or so  〜くらい。およそ。約。大体。in last month or so「先月あたりに。」

◆ ~, I’d say.   I would say. の省略形です。I think. の控えめな言い方。「そんな風に思います。」ネイティブは多用します。

 

★ OETサンプルテスト1・リスニング・Part A・Extract 1 理解度テストの答え

Q.1  bout  症状1回の発生。一発作。

Q.2  (日本語ではこれをどういうか、考えてみてください。)eighteen months ago  一年半前。

Q.3    give SB a hand with STH   人の~に手を貸す。

Q.4  My back gave out.   腰がガクッとなった。腰(から力)が抜けた。

Q.5  I got over A.  ~が治った。良くなった。

Q.6 (名詞・動詞で)flare  名詞で「悪化」、動詞で「悪化する」。

Q.7 It was six months till that finally cleared up altogether.   それが完全に治るまで6カ月かかった。

Q.8 in the last month or so  先月かそのあたり。

Q.9 ~, I’d say.  そんなふうに思います。

 

効果的な学習方法と練習のコツ

リスニングを学習したい人、英語のリスニング能力を上げたい人に効果的な勉強法として、シャドーイングやディクテーションといった学習メソッドがあります。

OET学習においても、シャドーイングやディクテーションが欠かせません。

◆ 初級から中級の方にお勧めのリスニング学習法

1.ディクテーションして、理解の不十分なところを洗い出す。

2.洗い出された問題点を学習し、全部潰す。

●「音がムニャムニャ、ボソボソしていて、聞き取れないところ」は、音学習をします。

●「聞き取れたけど意味がわからないところ」は、意味学習をします。

3.シャドーイングし、理解をより完璧にする。

◆ 上級の方にお勧めのリスニング学習法

英語学習上級者の方は、ディクテーションを飛ばして、いきなりシャドーイングでも問題ありません。スクリプトは見ずに、ネイティブ音声を聞き取ります。長さは、2、3秒とします。

1.音声を2、3秒程度聞いて止める。

2.聞いた内容を口頭で繰り返す。

3.答え合わせをする(スクリプトをその部分だけ確認する)。

 

詳細は、【第157回】OETリスニング攻略法 で詳しく説明しています。

 

今回の内容をポッドキャストでも一緒に学習しましょう!

Dr.レン

ラジオは通常速度で19分19秒だよ。
早く聞きたいあなたは倍速などでどうぞ!

アップルポッドキャストや Spotify で「エイミ」で検索!

この記事が役に立ったら、フォローお願いします!/

(アイコンをクリックで登録画面へ移動します)

 

 

今回のまとめ

今回は、医師向けの国際的な英語試験、Occupational English Test(OET)のサンプルテスト1・リスニング・Part A・Extract 1(患者名:Ray Sands)冒頭1分間に出てくる重要英語表現について解説しました。

レイ・サンズさんの音源は、理学療法士役・患者役ともにアメリカ発音です。

そのため、多くの日本人にとって音そのものは比較的聞き取りやすく、今回は音よりも意味の解説を行いました。

ただし、「音そのものが聞き取れない部分が多い」学習者さんは、必ずディクテーションからやることをお勧めします。

音が聞き取れないのに意味だけを学習してもあまり意味がありません。

リスニングは「音の理解」と「意味の理解」の両方が合わさることで、達成されます。

レッスンに興味のある先生は、以下のページより、無料カウンセリングへのお申込みをご検討いただけましたら幸いです。

通常、個別レッスンの募集は空きの出たタイミングでのみ行っていますが、2025年はOETに力を入れているため、現在、特別募集中です。

タイミングによって、受講開始をお待たせしてしまう時があります。

ご了承ください。

医師のための個別レッスン【発表・座長・診療・面接 etc】

それではまた一緒に英語学習しましょう!

 

-あれこれ, ポッドキャスト

執筆者:

関連記事

【第10回】「英語の母音はどの程度の完璧さを目指すべきか」を考えてみる

  エイミ こんにちは! 医学英語発音コーチのエイミです。   今回は、メルマガ読者様からいただいたご質問、「英語の母音はどれくらい正確に区別して発音すれば良いの? そしておすすめ …

【第150回】/ʒ/ を正しく発音する方法! ELSA speak や Siri を攻略しよう

この記事が役に立ったら、フォローお願いします!/ (アイコンをクリックで登録画面へ移動します)     Dr.レン ラジオは通常速度で10分08秒だよ。 早く聞きたいあなたは倍速などでどうぞ …

【第50回】「変異株」と「株をやる」と野菜の「蕪」を英語で

この記事が役に立ったら、フォローお願いします!/ (アイコンをクリックで登録画面へ移動します)     エイミ こんにちは! 医学英語発音コーチのエイミです。   私、この間ある生 …

【第87回】The Resident 型破りな天才研修医 第一話で英語学習 1

この記事が役に立ったら、フォローお願いします!/ (アイコンをクリックで登録画面へ移動します)     今回は The Resident というアメリカの医療ドラマの第一話 を使って英語学習 …

【第18回】「胸膜」の発音を出来るだけネイティブに近づけてみようの回

この記事が役に立ったら、フォローお願いします!/ (アイコンをクリックで登録画面へ移動します)     エイミ こんにちは! 医学英語発音コーチのエイミです。   今回は、「胸膜」 …

最新記事

  1. 【動画】学会発表「本日は~についてお話させて頂きます」を英語で
  2. 「ソーシャルディスタンス」英語でどういう? 新型コロナ関連の英語表現&発音まとめ【3】
  3. 【第26回】「大動脈瘤の最先端治療を行っています」ER で発音練習
  4. 【第106回】座長の英語例文「セッションを予定の時間で進行させる」
  5. 【生徒さんの声】スウェーデンの人たちと医療について語り合いたい!
  6. 【第155回】呼吸器の英語の発音 ~ 呼吸不全、人工呼吸器、レスパイト
  7. 通じないカタカナ医学英語 まとめ【1】
  8. 【第17回】知ってる?「Didn’t」の発音は「ディドゥント」じゃないっていう話
  9. 【第30回】「多変量解析」multivariate analysis の発音のコツ
  10. 【英語でスライド作成】おすすめ書体はArial、Segoe、Helvetica
  11. 【第104回】英語でチャット〜ポッドキャスト配信アプリのスタッフさんと
  12. 【第82回】スタンフォード大学研究者の著書から学ぶ発表に役立ちそうな英語表現
  13. 【英語の発表フレーズ】ネイティブが使う talk about 以外の5つの表現
  14. “濃厚接触者” 英語でどういう?新型コロナ関連の英語表現&発音 まとめ【4】
  15. 【ERで診療英会話】「ちくっとします」「針入りました」点滴時ネイティブはどう言う?
  16. 【学会レポ】座長編 英語例文「セッションを始める」
  17. 【受験してわかった】英検新形式準1級・1級の「時間配分&対策すべきこと」まとめ
  18. 【ERで学ぶ医療英会話】頭部と頸部の触診1【英語丸ごと解説】
  19. 隔離はコホーティングじゃない? 新型コロナ関連の英語表現&発音 まとめ【1】
  20. 【第61回】英語で「は?」と聞き返されても気にしない。受け止め方と対処法
  21. 『医療崩壊を防ぐ』『感染者を急増させない』英語でどう言う?
  22. 【第115回】3つのアの練習- gram と drug のアは違う音です!
  23. メルマガ登録フォームのシステム不具合を経験して感じたこと
  24. 【第128回】英語「コッホの三角」「ファロー四徴症」「紹介状」の正しい発音
  25. 【第9回】医学英語の発音練習には何がオススメですか?
  26. 【第24回】オーストラリア英語の聞き取り練習(TOEICとERで解説)
  27. 【第41回】留学中最高に面白かった大学の授業を振り返ってみた
  28. 【第93回】ハリソン内科学のポッドキャストで発音練習!
  29. 「基礎疾患」英語でどう言う? 新型コロナ関連の英語表現&発音 まとめ【2】
  30. 「メイヨークリニック」の発音はまさかのアレと同じです!
エイミ
医療英会話の発音とリスニングの専門家。英検、OET、学会発表、外来での診療英会話、舌トレなどのオンラインレッスンを提供中。20代後半から英会話習得をスタートし、最初は「センキュー」以外一言も話せない英語音痴だった。日本人にとっての理解しやすさを追求した解説と「トレーニングは楽しく!」が信条。ERが大好き。University of Baguio, Associate in Hotel and Restaurant Management卒。TOEIC 935点。

詳しいプロフィールはこちらからどうぞ。