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目次
ディクテーション学習には「落とし穴」がある
こんにちは!
医学英語発音コーチのエイミです。
英語のリスニング力を上げるために行う「ディクテーション」という学習法があります。
ディクテーションとは、ネイティブが発話する英語を1、2秒のみ聴き、音声を止め、聴いた英語をノートに書き取ることで、どこが聞き取れていて、どこが聞こえていないかを確認する、という学習法です。
ディクテーションはとても効果的な学習法なのですが、実は、私たち日本人学習者が陥りがちな落とし穴があります。
今回は、皆さんがその穴に落ちないようにするためのお話しをさせていただければと思います。
このトピックは、今週、ある受講生様から以下のコメントをいただいたことがきっかけとなっています。
少し長くなりますが、とても大切な体験談だと思いますので、ぜひご一読ください。
(ご紹介の許可をいただいています。)
ディクテーションは、英語を話せる日本人の方の多くが「効果がある」と言っているものなので、私もやってみたいと思い、これまで何度もトライしてきました。
しかし、ディクテーションの題材選びが難しく、たとえば、NHKラジオ英会話を、難易度の低いものから高いものまでいろいろと試してみたり、ほかにも海外ドラマでやろうとしてみたりと、いろいろと試みたのですが、一方は簡単すぎたり、一方は難しすぎたりして、「一体何を選べばいいんだろう?」と悩むこととなりました。
ある時、ある英語系YouTuberさんが、「自分がしっくりくるもの、これだと思えるものなら、題材はなんでも良いんですよ」と言っていて、その「しっくり感」を探してみようとしましたが、これならやりたいと思えるものがやはり見つからず、迷子になりました。
発音学習も、してみようとしたことはあり、「英語耳」などの発音学習書で学ぼうとしてみましたが、私には無理でした。
そのまま、数年間、ずっと迷子でした。
そこから脱出できたのは、エイミ先生と一緒に発音学習をしたからでした。
これまでは、発音記号が読めなかったので、「この音とこの音は同じ音」とか、そういったことがわからず、体系立てられず、単語ひとつひとつの音を、その都度、頑張って覚えようとしていました。
また、複数の単語が繋がって一単語のように聞こえることがよくあることも、発音学習をするまで知りませんでした。
それが、発音学習をしたことで、ようやく「英語の音の世界の全体像」が見えて、そういう事だったのか、と思えるようになりました。
発音学習を経て、今ようやく、独学で、ディクテーション学習が出来るようになりました。
こちらの先生のコメントから読み取れることとして、以下のことがあります。
● 最初、ディクテーション学習が上手くいかない理由を「題材選び」が問題だと感じていた。
● しかし実際には、「発音学習をしたこと」が突破口となった。
私はこの体験談を伺って、大きな気づきを得ました。
なぜなら、私自身は発音記号を知らずにディクテーションした事がなく、「発音学習せずにディクテーションするとこうなってしまうのか」と、知ったからです。
私自身の学習歴としては、大人になってから英語学習を始めた際、最初にフィリピンの英語学校に入学したのですが、そこで最初に、発音記号を徹底的に叩き込まれました。
ディクテーション学習をし始めたのは、その随分後になります。
英会話講師として仕事を始めてからは、学習者さんからのお悩みとして「ディクテーションしても効果が見えないのですが、なぜでしょうか」というお声は何度もいただいたことがあり、その度にその方とご一緒にディクテーションに取り組んできました。
そうすると皆さん「これでようやくやり方がわかった!」と喜ばれるんです。
良かったなぁ、といつも思っていましたが、具体的に私が何をご提供したから良かったのか、というのは、いまいち言語化出来ずにいました。
それが「発音世界の知識」であったこと、より正確には「発音記号の知識」であったことを、今回、認識することが出来ました。
なので、この記事を読んでくださっている皆さんが、「ディクテーションしてみたけれど、いまいち効果を感じられなかった」という経験があり、かつ「発音記号は学習したことがない」という状態なら、ぜひこの先へ進んでみていただければと思います。
「発音記号が読める or 読めない」ディクテーションにどう影響? 英検準1級で実践してみよう
今日の学習課題として、英検準1級リスニング問題パート1から一部分、音源を抜粋しました。
こちらの音声を題材として、なぜ「ディクテーションに発音記号の知識が必要なのか」を、これから解説します。
大切なこととして、今回は英検を使うものの、TOEICでも、IELTSでも、OETでも、PTEでも、日常英会話でも、どのような英語のリスニング学習でも、同じ学習法が必要であることをお伝えしておきます。
英検は1度しか音源が流れませんので、以下の音声は一度だけ聞いてみられることをお勧めします。
全部で16秒の短い音声です。
聞き取れるかどうか、チェックしてみましょう。
それでは、どうぞ。
◆ <ディクテーション課題>英検準1級パート1過去問から抜粋
いかがでしたか?
AさんとBさんがどんな会話をしていたか、わかった方は素晴らしいです!
そして「あんまりわからなかった」という方、ここからが学習の本番です。
まずは答えを確認しましょう!
◆ <ディクテーション課題>英検準1級パート1過去問から抜粋 答え
男性:わかりました。締め切りは近いんでしょうか?
OK. Is the deadline urgent?
女性:いいえ、予定より前倒しで進んでいて、期限までまだ数日あるわ。ミキは、時間をかけるように頼んでも、私に早く戻すために大急ぎでやってしまう傾向があるの。
No, we’re ahead of schedule and still have a few days until it’s due. Miki has a tendency to rush to get things back to me quickly, even though I ask her to take her time.
最初にディクテーションしていただいたものと照らし合わせて、答え合わせをしてみてください。
すると、間違っていたり、わからなかったりしたところがあったのではと思います。
多くの方が、この「答え合わせ」をした段階で学習を終了してしまいます。
しかしそれでは全く意味がありません。
ここまではただの「学習のための下地作り」をしただけです。
発音記号を使って、なぜ聞き取れなかったのかを理解してみましょう!
<発音記号が読める世界1>「スケジュール」の発音は2つある!
今回の課題では、最初に男性が「デッドラインはアージェントですか?(締め切りは迫っていますか)」と質問をしています。
それに対して女性が、こう返事をしました。
No, we’re ahead of シェジュー.
「いいえ、シェジューより先に進んでいるわ。」
ここで女性は「スケジュール」と言っているのですが、この「スケジュール」を聞き取れない方が多くいます。
理由は、「スケジュール」が「シェジュー」 と発音されているからです。
schedule を辞書で引くと、多くの辞書で、2つまたは3つ、発音記号が並列で記載されています。
<ウィズダム英和辞書より>
一つ目は /skédʒuːl/ とあり、これは私たちの知っている「スケジュール」に近い発音です。
ふたつ目は /ʃédjuːl/ とあります。
この縦長のSのような発音記号、sh /ʃ/ で発音すると、「スケジュール」は「シェジュー(またはシェデューなど)」となります。
発音記号がわかる方なら、これは容易に理解できることです。
逆に、発音記号がわからなければ、「よくわからないけど、こうやって発音されているから、覚えるしかないな」となり、もやもやを抱えたまま、終了となります。
この違いは巨大だと思いませんか?
発音記号が読めたら、ディクテーションで「音が聞こえなかった」ことによって落とした場所を、自力で拾い上げることが出来るんです。
ディクテーションは、ここまでやって、ようやく意味を持ちます。
<発音記号が読める世界2>「アンティル」の「ア」はなぜ聞こえないのか?
女性の台詞を続けて聞いていきましょう。
And stil have a few days ンーテリッツデュー.
「まだ数日あるの、~~~。」
ここで女性は until it’s due 「期日が来るまで(まだ数日の余裕がある)」と言っているのですが、聞き取れない方が多くいます。
理由は、until it’s が「ンーテリッツ」 と発音されているからです。
「~まで」の意味で頻出する until を辞書で引き、発音記号を確認しましょう。
すると、最初の u の部分の音が、弱形発音の場合、/ə/ であることがわかります。
E の小文字を上下さかさまにした発音記号、/ə/ は「シュワ」と呼ばれます。
シュワは「はっきりと発音されない母音」を示す記号です。
/ə/ という発音記号の理解があれば、 until の「ア」がはっきり聞こえないことは当然であり、until it’s は「ンーテリッツ」と聞こえることがあるんだなと、納得することが出来ます。
<発音記号が読める世界3>「her」はなぜ「ハー」と聞こえないのか?
今日の最後の学習は、女性の台詞から、こちらの部分です。
Even though I アスカー to テイカー time.
「私が時間を~~するように~~してもね。」
ここで女性は Even though I ask her to take her time.「(仕事を行うのに、急がずに)しっかりと時間をかけてちょうだいと彼女に頼んでも(そうしてくれないのよ)ね。」 と言っています。
しかしここも、聞き取れない方が多くいます。
理由は、her が「ハー」ではなく、「アー」 と発音されているからです。
her を辞書で引き、発音記号を確認しましょう。
すると、彼女、herの発音は、Hが抜け落ちて、/ə(ː)r/ となることがあるとわかります。
この変化は「Hの脱落」と呼ばれます。
ask her が、アスク・アーとはならず、アスカーのようにつながること、take her も、テイク・アーではなく、テイカーと繋がって聞こえることは、「リンキング」や「リエゾン」と呼ばれる変化です。
このように、発音記号を見れば、音がなぜそう聞こえるのかの理由がわかります。
しかし、当然のことながら、発音記号に対しての知識が身に付いていなければ、記号を見ても音を理解することはできません。
今回の内容をポッドキャストでも一緒に学習しましょう!
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今回のまとめ
今回は、「ディクテーションするなら発音記号の知識が必要である理由」について解説しました。
● ディクテーション学習は、英語のリスニング力を上げたい時に、
● ただし、
● 発音記号の学習をせずに、ディクテーションに取り組んで、「成果が出ない」と悩まれる日本人学習者さんが多くおられます。
● 少しでも発音学習をしたことがあるか、ないかでは、先々に大きな違いが出てくるはずです。
今回、一緒に学習してくださった皆様、お疲れ様でした!
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それではまた一緒に英語学習しましょう!