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【第83回】全身麻酔の説明・問診・声掛け、英語でどう言う?

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今回は 外国人の患者さんに全身麻酔の説明をする時の表現 について英語学習していきます。

YouTubeで探してみたところ、スイスのジュネーブ大学病院(Geneva University Hospitals)が患者さん向けに発信されている動画の全身麻酔の説明がとてもわかりやすかったので、 この動画の一部を皆さんにご紹介します!

Dr.レン

ラジオは通常速度で13分49秒だよ。
大事なところだけ聞きたいあなたは 01:20 からどうぞ!

 

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全身麻酔のリスクを説明する場面

参考動画:General Anesthesia | Geneva University Hospitals

エイミ

こんにちは!

医学英語発音コーチのエイミです。

 

最初に手術前に麻酔医の先生が患者さんへリスク説明をしているところから聞いてみましょう。

男性の医師と男性の患者さんの会話の後、女性の声でナレーションが入ります。

それでは、どうぞ。

 

◆ 「全身麻酔はノーリスクではなく、麻酔後に問題が起こる場合があります」

麻酔科医師:全身麻酔はノーリスクではなく、麻酔後に問題が起こる場合があります。使用する麻酔薬が術後に吐き気や嘔吐を引き起こすことがありますが、通常は1日2日で自然に無くなります。

“Anesthesiologists know that general anesthesia is not risk-free and are aware of the problems which may arise following general anesthesia. Although the anesthetic drugs employed may cause post-operative nausea or vomiting, such symptoms usually disappear spontaneously within a day or two.”

ナレーター:全体的な話として、麻酔のコントロール手法はここ数年の症例数増加と効率性の上昇により、安全性が相当に高まっています。現在ジュネーブ大学病院では、4、5年に一件のみ、麻酔による重大なアクシデントが起きています。これは手術件数10万件に一度という数字で、ほとんどのアクシデントは患者さんの健康状態に起因するものです。ですので、麻酔前の問診は非常に大切です。

Generally speaking, we can say that safety has improved considerably over the past several years thanks to the increase in the volume and efficiency of established control methods. Today, at the Geneva University Hospitals, there is only one serious anesthetic accident every 4 or 5 years that is to say one for every 100,000 operations. Most accidents are generally related to the patient’s state of health which is why anesthetic consultation is so important.

 

↑このリスク説明部分で英語のポイントになりそうなところ、わかりにくそうなところを以下にまとめます!

 

◆ “Anesthesiologists know that general anesthesia is not risk-free.”

日本語で考えると「全身麻酔はノーリスクではありません。」ということが言いたい部分です。それが Anesthesiologists know で始まっているので一瞬わかりづらいですが、無生物主語よりも人を主語にすることで、言葉の響きを柔らかくしようとされているんじゃないかなと思います。

◆ “Although anesthetic drugs employed may cause…”

employ はここでは「使用する」。use より硬い語です。anesthetic drugs employed がこの文の主語。「使用される麻酔薬が…を引き起こすことがありますが」。 

◆ arise   

起こる。生じる。=occur。

◆ disappear spontaneously   

自然に消失する。

◆ Today, at the Geneva University Hospitals, there is only one serious anesthetic accident every 4 or 5 years…

「当施設では」と具体的に数値を公開する際にテンプレ使用できそうな表現です。

◆ that is to say   

(前言を引き継いで)それはすなわち。つまり。 

 

輸血への同意を求める場面

続いて動画では、医師が患者さんへ血液製剤使用の同意を確認します。

ここでは「エホバの証人の信者ではありませんか」という質問もなされています。

ご存じの通りエホバの証人という宗教の信者の方は輸血を拒否されることがあり、その確認のための質問です。

「エホバ」の発音が日本語と全然違いますので聞いてみましょう。

 

◆ 「血液製剤の使用に同意をお願いします」

麻酔科医:血液製剤の使用に同意していただけますか。エホバの証人の信者の方ではありませんか?

“Do you agree to the use of blood products? Are you a Jehovah’s Witness?” 

患者さん:いいえ。

“No.”

麻酔科医:わかりました。

“Good.”

 

このように、「エホバの証人」は英語で 

Jehovah’s Witness

ジェヴァズ ウィットネス 

と発音します。 

「エ」ではなく「ジェ」なんですね。

そしてここで、「エホバの証人ではない」という患者さんからの言葉に対して Good. とお医者さんが返事をされていることに関して付け加えです。

YouTube のコメント欄で視聴者の方から「ここはどういう意味なの?」という質問が入っていました。

このコメントに病院の方が丁寧に返事をされており、エホバの証人の方は輸血拒否の信条を持っておられること、そのための確認事項であること、そしてこの Good. は Okay.Noted. (わかりました、了解です)の意味であり、Great.(それは良かった!)のニュアンスではないことなどが書かれていました。

このコメント欄を見て、もしこういう場面に実際に私たちが立ち会ったとしたら、Good. よりも Okay. や Noted. を選ぶべきかな、と思いました。

 

手術室へ入室し個人を再確認する

このほか参考になりそうな場面をもうひとつご紹介します。

手術当日、オペ室へ入室する患者さんへの声掛けです。

 

◆ 手術室へ入室し個人を再確認する 

医師:こんにちは、これから麻酔を始めます。

Welcome to anesthesia.

患者さん:よろしくお願いします。

Hello, doctor.

医師:個人を確認するため、お名前をおっしゃっていただけますか?

Hello. I’d like to verify your identity again. Your name, please?

患者さん:パトリック・マーティンです。

Patrick Martin.

医師:パトリック・マーティンさんですね。ブレスレットを確認しますね。大丈夫ですね。カルテもこちらにあります。問題ありません。

Patric Martin. I’ll just check the bracelet. Good. Okay. This is your file. Perfect.

看護師:こんにちは、麻酔専門看護師のステファニーです。お体のモニタリングをする機材を付けさせてもらいますね。医師のアシスタントも勤めますので、よろしくお願いします。

Hello, my name is Stephanie. I’m a nurse anesthetist. I’ll be setting up the monitering system as well as assisting the doctor.

◆ nurse-anesthetist  /ənésθətìst|ənı́ːs-/ 麻酔専門看護師。

 

 

麻酔薬注入時に患者さんへ声掛けする

最後に、実際に麻酔薬を注入し、患者さんが眠るまでの声掛けです。

参考までにどうぞ。

◆ 患者さんが眠るまで声掛けをする 

医師:最初に強い痛み止めのお薬を入れます。もしめまいがしたら目を閉じて、何か気持ちが落ち着くことを考えてみてください。手術が上手くいくよう、私たちは最後までここにいますので。大きく呼吸をしてください。もう一度。そうです。それでは静脈内カテーテルから眠くなるお薬を入れていきますね。気分は悪くないですか? ゆっくり呼吸をしてください。手術が終わったらまたお会いしましょう。

The first drug is powerful pain reliever. If you feel dizzy, just close your eyes and think of something pleasant. We will be with you throughout the entire operation to make sure that everything goes all right. We’ll see you when you wake up. Breathe deep. One more time. Very good. Once more. Now I’m injecting the drug into the intravenous catheter which will slowly put you to sleep. Are you okay? Breathe deep. And I’ll see you later.

◆ put SB to sleep   人を眠らせる。

◆ intravenous catheter  静脈内カテーテル。

 

 

ポッドキャストでも一緒に学習しましょう!

 

Dr.レン

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今回のまとめ

今回はスイスのジュネーブ大学病院発信のYouTube動画から 患者さんに全身麻酔の説明をする時の英語表現 を学習していきました。

特に注目した表現をまとめます。

・全身麻酔はノーリスクではなく、麻酔後に問題が起こる場合があります。使用する麻酔薬が術後に吐き気や嘔吐を引き起こすことがありますが、通常は1日2日で自然に無くなります。

Anesthesiologists know that general anesthesia is not risk-free and are aware of the problems which may arise following general anesthesia. Although anesthetic drugs employed may cause post-operative nausea or vomiting, such symptoms usually disappear spontaneously within a day or two.

・現在ジュネーブ大学病院では、4、5年に一件のみ、麻酔による重大なアクシデントが起きています。これは手術件数10万件に一度という数字で、ほとんどのアクシデントは患者さんの健康状態に起因するものです。ですので、麻酔前の問診は非常に大切です。

Today, at the Geneva University Hospitals, there is only one serious anesthetic accident every 4 or 5 years that is to say one for every 100,000 operations. Most accidents are generally related to the patient’s state of health which is why anesthetic consultation is so important.

・血液製剤の使用に同意していただけますか。エホバの証人の信者の方ではありませんか?

Do you agree to the use of blood products? Are you a Jehovah’s Witness?

 

何か参考にしていただける表現はありましたか?

英語は実際に口に出してなんぼです!

記憶に残った表現はぜひ積極的にお仕事に取り入れて、少しづつでも使ってみていただければと思います。

少々発音や文法が上手くいかなくても、気持ちがこもっていれば伝わりますよ!

それではまた一緒に英語学習しましょう!

 

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エイミ
医療英会話の発音とリスニングの専門家。ER先生。舌トレ先生。英検先生。
20代後半から英会話習得をスタートし、最初は「センキュー」以外一言も話せない英語音痴だった。日本人にとっての理解しやすさを追求した解説と「トレーニングは楽しく!」が信条。ERが大好き。University of Baguio, Associate in Hotel and Restaurant Management卒。TOEIC 935点。

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