医療系英単語の発音

【第140回】「et al.」どう発音する? アメリカ英語とイギリス英語でこんなに違う!

投稿日:2024年7月18日 更新日:

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論文を読まれている時に見かけられる「et al.」、英語でどう発音するか、ご存知でしょうか?

この言葉はアメリカ英語とイギリス英語で発音が異なりますので、どちらもご紹介していきます。

医療英語の発音を一緒に練習しましょう!

 

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「et al.」米語と英語の発音の違い

エイミ

こんにちは!

医学英語発音コーチのエイミです。

 

この記事では、最近のレッスンである先生と練習させていただきました “and others” 「~と他の人々」という意味のワード、et al. の読み方から学習を始めたいと思います。

et al. はラテン語由来の言葉です。

特に論文を読まれている時に見かけられるワードではないかと思います。

カタカナでは皆様はどう読まれているでしょうか?

エトアル?

エトオール?

英語ではどう発音するかというと、アメリカ英語とイギリス英語で結構違います。

まずはアメリカ英語から聞いてみていただければと思います。

 

◆ アメリカ英語の 「et al.」は  「エドオl

男性:著者の名前は思い出せますか?

Do you recall the editors of that?

女性:ええ、アダムス氏です。アダムス・エドオl です。

Yeahits Adamsis the first editor. Adams et al.

Current Conversations, Social Change Professionals, Episode #311 03:30

 

YouGlish では、このように、アメリカ英語話者の方は 

エドオl

/et ɑ́ːl, et ɔ́ːl/  

と発音されていることが多く見られます。

al は英語の all、オール /ɔ́ːl/ と同じ発音です。

et のTが濁ってDっぽくなるのは、フラップTといって、アメリカ英語特有の変化です。Tで終わる単語の後ろに母音が続く時、T音がD化、またはL化する現象が起きます。

 

イギリス英語ではフラップTは起こらないので、Tは濁りません。

さらに、イギリス英語では、al の母音も all と同じではなく、アメリカ英語と異なります。

聞いてみましょう。

 

◆ イギリス英語の 「et al.」は「エト エァl

では、このヒッグス・エト エァl のアイデアは、どのように機能するのでしょうか?

So how does this Higgs et al. idea work?

The Long Road to the Higgs boson – and beyond  19:50

 

イギリス英語では、et のTは濁らず、かつ al /æl/ と発音されています。

りんご、apple は「ポウ」のように発音しますが、この /æp(ə)l/ の a の音、エとアの中間音です。

 

エト エァl

/et ǽːl/  

アメリカ英語とはかなり違いがあります。

発音は、単純に米語か英語かという以外にも、地方や個人の方のアクセント(方言)も影響します。私はどちらで発音しようかと悩んだら、「聞いたことのある方」や「言いやすい方」を選ぶようにしています。

 

「Not at all.」もアメリカ英語とイギリス英語で全然違う

アメリカ英語の濁るT、フラップTといえば、一つ、とても有名なものがあります。

それは

Not at all.

です。

「ありがとうございます」と言われた時などに「いえ、全然大丈夫ですよ」と返事をするときなどの、Not at all。

または否定文で質問されたとき、「全然それはない」と全否定する時にも使える台詞です。

アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いとして、アメリカ英語(AE)の Not at all. は、Tが濁って、こんな感じです。

◆ AEの “Not at all.” は「ナダドー

ロス:もし僕たちがまだお互いに気があるなら(ルームメイトになるのは)おかしいけどさ。きみはまだそんなつもりがある?

It only would be weird if we in “that place”. I mean, are you still in that place?

レイチェル:いいえ、全然ない。

No, not at all.

ロス:よかった、僕もだ。

Good. Me neither.

 

not のTも at のTも、どちらも濁って「なだどー」となります。

しかしイギリス英語(BE)では濁りません。

 

◆ BEの “Not at all.” は「ノッタットォ

以下の文章にどの程度同意できるかを1から10までの尺度で尋ねることができます。10で「とてもそう思う」、ゼロは「まったくそう思わない」です。

We can ask to what extent we might agree with the following sentences on a scale of one to ten, ten meaning very much, zero indicating not at all.

 

イギリス英語の Not at all. は、「のったっとぉ」のような感じです。

 

「ピーター」もアメリカ英語とイギリス英語で全然違う

ほかにもたとえば、人の名前はいかがでしょうか。

英語で人の名前を聞き取ったり発音したりすることは、どんな名前でも結構難しいのですが、フラップTが入るとよけいに難しくなったりします。

ERに Dr. ベントン という先生が主役の一人として登場します。

外科レジデントの若い先生です。

そのベントン先生のファーストネームにT音が入るのですが、今から、ネイティブの発音で聞いてみていただこうと思います。

ベントン先生のファーストネーム、なんという名前だったかなぁと、ERファンの先生は考えていただきながら、お聞きになってみてくださいね。

それでは、アメリカ英語の発音からどうぞ。

◆ アメリカ英語の “〇〇” は「ピーラ」

上級医:ピーター、おまえは生意気なやつだな。このケース、自分でやってみたいんだろう。

Peter, you’re a smart-ass. You’d like to do this case yourself, wouldn’t you?

◆ smart-ass  自分に自信のありすぎる人。生意気な人。

 

ということで、ベントン先生のファーストネームは「ピーター」でした。

アメリカ英語では、後半の ter のT がフラップT化し、

ピー

ピーダ

のように聞こえます。

しかしイギリス英語では、T音に変化は起こりません。

ERには、イギリスから留学してきた女性の外科医、エリザベス・コーデイ先生がシーズン4から登場します。コーデイ先生がベントン先生を呼ぶ時の発音を聞いてみてください。

アメリカ英語との音の違いに注目です!

 

◆ イギリス英語の “ピーター” は「ピータ」

Dr. コーデイ:あ、ピーター!ちょうどよかったわ、紹介する。こちらピーター・ベントン、こちら、ロケット・ロマノよ。

Uh! Peter, that’s fantastic. Now I get to introduce you. Peter Benton, Rocket Romano.

 

イギリス発音のピーターは、それなりにカタカナ読みの「ピーター」に近いですね。

ただ、日本語よりもT音がとても強く発音されますので、つばが飛んでもOKくらいの感覚でTを発音するとイギリス英語らしくなります。

ピー

ピーツァ

また、アメリカ英語イギリス英語共通で ter は弱く発音されますので、ほぼ ピー だけくらいの気持ちで発話してみてください!

 

今回の内容をポッドキャストでもどうぞ!

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今回のまとめ

今回は、論文に出てくる et al. の英語のネイティブ発音の解説から、「アメリカ英語ではT音がDやLに変化し(フラップT)、イギリス英語ではT音がそのままきれいに発音される」ことについて、皆様と学習をしました。

● et al.

米語では  エドオl /et ɑ́ːl, et ɔ́ːl/

英語では  エト エァl /et ǽːl/

● Not at all.

米語ではなだどー

イギリス英語ではのったっとぉ

● Peter

米語ではピーラ」「ピーダ」

イギリス英語ではピータ」「ピーツァ」

一緒に練習してくださった皆様、お疲れ様でした!

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また一緒に英語学習しましょう!

 

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エイミ
医療英会話の発音とリスニングの専門家。ER先生。舌トレ先生。英検先生。
20代後半から英会話習得をスタートし、最初は「センキュー」以外一言も話せない英語音痴だった。日本人にとっての理解しやすさを追求した解説と「トレーニングは楽しく!」が信条。ERが大好き。University of Baguio, Associate in Hotel and Restaurant Management卒。TOEIC 935点。

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