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【第38回】大動脈解離の術後ブリーフィングを ER で練習【2】

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エイミ

こんにちは!

医学英語発音コーチのエイミです。

 

今回は「ER のワンシーンをまるまる発話練習していくシリーズ」の、大動脈解離の患者さんの術後回診ブリーフィング(状態説明)後半です。

「オペ自体は成功でしたが、患者の両脚に不全対麻痺が起こっています。」

「それで今朝は?」

「エコーで駆出率は15%、尿素窒素45、クレアチニン2、血圧180の110です。」

この会話、英語ネイティブはどのような表現や発音で話すのでしょうか?

記事とポッドキャストでコンテンツを公開していますので、お好みのサービスで発音練習してみてください!

●「大動脈解離の術後ブリーフィングで英語学習 前半」の記事はこちら

 

Dr.ゴリラ

ラジオは通常速度で29分08秒だよ。

早く聞きたいあなたは倍速などでどうぞ!

 

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ネイティブはこうブリーフィングする

 

エイミ

今回見ていく ER の場面は、

ある日の回診で、

循環器外科のヴューセリッチ先生が

外科レジデント3年目のベントン先生に

患者さんの状態説明を求めているシーンです。

前回の記事では、ベントン先生の最初の一言

「第9病日です。大動脈解離の患者で、

人工血管置換術でオペを行いました。」

という台詞を学習していきました。

今回はその続きを聞いていきます。

まずは聞き取りにチャレンジしましょう!

 

◆ 【聞き取りにトライ】「オペは成功でしたが…」ネイティブはどう言う?

Dr. ベントン:オペ自体は成功でしたが、患者の両下肢に不全対麻痺が起こっています。

_______________, __________________.

Dr. ヴューセリッチ:それで今朝は?

And this morning?

Dr. ベントン:エコーで駆出率は15%、尿素窒素45、クレアチニン2、血圧は180の110です。

Well, Echo shows ejection fraction of 15%, BUN’s 45, creatinine two. BP’s 180 over 110.

Dr. ヴューセリッチ:そこから考えられるのは?

______________?

Dr. ベントン:鬱血性心不全に腎不全かと。

________ heart failure, renal insufficiency?

【英語音声のみ】

 

さて、ヴューセリッチ先生とベントン先生が何と言っているか、わかりましたか?

ネイティブ同士の会話なので、ものすごく速いですね!

日本語訳をヒントにして、ぜひ繰り返してよーーく聞いて、考えてみてくださいね!

「オペ自体は成功でしたが…

「そこから考えられるのは?」

の英語表現は?

考えていただいたら、答えをどうぞ!

 

 

 

 

 

◆ 答え 

Dr. ベントン:オペ自体は成功でしたが、患者の両下肢に不全対麻痺が起こっています。

Patient’s surgical course was unremarkable, though there is evidence of partial paraplegia in the lower extremities.

Dr. ヴューセリッチ:それで今朝は?

And this morning?

Dr. ベントン:エコーで駆出率は15%、尿素窒素45、クレアチニン2、血圧は180の110です。

Well, Echo shows ejection fraction of 15%, BUN’s 45, creatinine two. BP’s 180 over 110.

Dr. ヴューセリッチ:そこから考えられるのは?

Suggesting what?

Dr. ベントン:鬱血性心不全に腎不全かと。

Congestive heart failure, renal insufficiency?

【日本語吹替と英語音声を連続で】

 

ということで、ベントン先生の「オペは成功でしたが」の表現は、

Patient’s surgical course was unremarkable, though 

でした!

“unremarkable”(特筆事項のない、問題のない)は、医療界では頻出の英単語かと思います。

ただ、「知ってる単語だけれど全然聞き取れなかった…!」という方は、ぜひこの先の解説を読んでみてくださいね。

(ラジオでも詳しく説明しています!)

また、ヴューセリッチ先生の「そこから考えられるのは?」の表現は、

Suggesting what?

でした!

これまた医療界頻出単語の一つ、”suggest” (~を示唆している)だったのですが、 こちらも聞き取りは少し難しかったかもしれません。

ここから unremarkable と suggesting の聞き取りのコツをお話ししていきます。

ご参考までにどうぞ!

 

“unremarkable” は「アン」と「マー」しか聞こえません!

エイミ

ゴリラ先生!

ベントン先生の “unremarkable” は

とっても速かったですね。

 

Dr.ゴリラ

速すぎて、正直僕には

unremarkable の「マー」

しか聞き取れなかったです…。

unremarkable が「マー」だけって一体…。

 

エイミ

そうですね、ほぼ「マー」しか聞こえないですよね!

先生の耳は間違っていないです!

英語ネイティブは unremarkable を

un(アン)とmar(マー)しかまともに発音しません。

なので、unremarkable の発音は

「アンマー」なんです!

 

Dr.ゴリラ

アンリマーカブルが「アンマー」…!?

 

【unremarkable】

● 日本人の感覚 → 「アンリマーカブル」(全部の音が、ちゃんと聞こえるように。)

● 英語人の感覚 → “アン マー カボウ (「アン」と「マー」だけちゃんと聞こえればOK。あとは大体でOK。)

 

ということで unremarkable は、音の山を二つ作るようなイメージで発音してみましょう!

 

エイミ

参考までに、ネイティブの unremarkable の発音を

4つ集めてみました!

連続で聞くと

「音のかたまりが二つある」感覚が

見えてきやすいかなと思います!

 

◆unremarkable アン マー カボウの発音 4つ連続で

 

1つ目:ベントン先生の unremarkable

2つ目:-and fairly unremarkable.

3つ目:-the radiology report went on to say that my pancreas was unremarkable.

4つ目:-it’s just an unremarkable video of a dad and the son playing.

 

正確には ri と kable の部分も全然発音されていないわけではなく、

「こうすれば聞き取れる!」というコツがあるのですが、

少し難しくなるので

また別の機会にお話しできればと思います!

 

“suggesting” は「ジェス」しか聞こえません!

エイミ

続いて、

Suggesting what?”

の部分での suggesting の発音です。

ゴリラ先生、ここはどう聞こえましたか?

 

Dr.ゴリラ

ここは「ジェスワッ、って何だ?」

ってなりましたね!

suggesting が「ジェス」

しか聞こえなかったので…。

最初の「サ」と最後の「ティング」は一体どこに…?

 

エイミ

そうですね、「ジェス」しか聞こえないですよね!

英語ネイティブは suggesting も

ges(ジェス)しかまともに発音しないです。

さっきの remarkable と理屈は同じです! 

 

【suggesting】

● 日本人の感覚 → 「サジェスティング」(全部の音が、ちゃんと聞こえるように。)

● 英語人の感覚 → “ ジェス (ティ)ン (「ジェス」だけちゃんと聞こえればOK。あとは大体でOK。)

 

suggesting は、音の山を一つだけ作るようなイメージで発音してみましょう!

 

エイミ

ネイティブの suggesting の発音を

3つ集めてみました。

連続で聞いて

「音のかたまりが一つだけ」の感覚を

掴んでみましょう!

 

◆suggesting ジェス (ティ)ン の発音 4つ連続で

 

1つ目:ヴューセリッチ先生の suggesting

2つ目:-suggesting that intelligence itself is made up of-

3つ目:-There’s also growing work suggesting that social networks really matter for people when they sign up for programs-

 

それでは今日はここまでです!

ラジオでは、今回の会話全体の聞き取りのコツをもっと詳しくお話しし、同じように発話できるよう、発音練習していきます。

頑張りましょう!

 

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今回のまとめ

今回はERの術後回診のシーンから、「ネイティブはどんな風に患者さんのブリーフィングをするのか?」の続きを学習していきました。

発音面からは、次の2つの単語を取り上げました。

1:unremarkable

アン マー カボウ

 

2:suggesting

ジェス (ティ)ン

unremarkable の re と kable、そして suggesting の su と ting は聞こえにくいですが、実際はまったく発音されていないのではなく、子音だけで発音されています。

(私たち日本人は「子音だけの音」を聞き取るのが苦手です。)

ポイントを押さえて英語を聞き続けていくと、私たちも段々と聞き取れるようになっていきます。

発音や聞き取りのスキルを上げるには、「子音だけの音に意識を向けること」が大きなカギとなります。

 

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エイミ
医療英会話の発音とリスニングの専門家。英検、OET、学会発表、外来での診療英会話、舌トレなどのオンラインレッスンを提供中。20代後半から英会話習得をスタートし、最初は「センキュー」以外一言も話せない英語音痴だった。日本人にとっての理解しやすさを追求した解説と「トレーニングは楽しく!」が信条。ERが大好き。University of Baguio, Associate in Hotel and Restaurant Management卒。TOEIC 935点。

詳しいプロフィールはこちらからどうぞ。