医療ドラマ英会話

【医療で頻出】「可能性がある」「恐れがある」の英語表現

投稿日:2021年1月15日 更新日:

 

この記事が役に立ったら、フォローお願いします!/

(アイコンをクリックで登録画面へ移動します)

 

 

エイミ

こんにちは!

医学英語発音コーチのエイミです。

 

今回は、ER などの医療ドラマにとてもよく出てくる

There’s a good chance that ……

という英語表現をご紹介しようと思います。

“good chance” と聞くと、私たち日本人は

「チャンスだ!ってこと?」

と思ってしまうかもしれないのですが、この「good」は「良い」という意味とは違います。(量や値などが)かなりの、十分の」という意味の形容詞です。

そして chance は、「好機」の方ではなく、「可能性」という意味です。

つまり good chance は「十分な可能性」。

“There’s a good chance that …”

は、「~の可能性が高いです」というフレーズとなるのですね。

ネイティブの医療者はこのフレーズをどう使っていくのか? ということを、今日は多くのシーンを使ってご紹介していければと思います。

 

「可能性が高い」”Thre’s a good chance” の使い方

 

エイミ

それでは、

There’s a good chance …

「可能性がある」「高い」

意味しているフレーズを ERから

まず3つご紹介していきます。

 

Dr.ナミ

一つ目は、救急医の Dr. チェンが

救急科の同僚 Dr. カーターの診断に

疑問を持ち、「別の疾病ではないか?

と問いかけをするシーンニャ。

 

◆「~の可能性があるのではないか」と同僚に示唆する

Dr. カーター:(患者は全身に痒みを訴え極度に興奮していたので、)強迫性障害か身体醜形障害じゃないかと。

Either OCD or a body dysmorphic disorder.

Dr. チェン:そう、でも、これに気づいた?

Yes, but, uh, did you see these?

Dr. カーター:なに?

What?

Dr. チェン:孔道に、丘疹。リンデン毒性の可能性が大いにあると思うわ。

Burrows, papules. I think there’s a good chance it’s lindane toxicity.

 

ここでは、

● There’s a good chance that it’s A.

A(病名)の可能性が高い、十分に考えられる

という表現が出てきました。

that以下の主語には it を使っています。

(good を抜けば「Aの可能性もある」といったマイルドな表現になります。)

 

エイミ

さらに二つ、連続して見ていきましょう。

次の2つのシーンは、

ドクターが患者さんに

疾病や出産の可能性を伝える一言です。

 

◆「~の可能性があります」と患者さんに伝える

腹痛で救急搬送された妊婦:何か問題が?

Is that bad?

Dr. バーネット:いいえ。でも今日中に出産になる可能性は高いですね。

No, but there’s a good chance you could be having your baby today.

妊婦:そう、今回も自宅出産が良かったのにな…。

Oh, I wanted to have another home birth.

 

Dr. バーネット:分娩中に酸素が不足しまして…。

Your son was deprived of oxygen during the birth.

母親:でも、大丈夫なんでしょう?

But he’s gonna be all right?

Dr. バーネット:二、三日でわかります。ただ、神経障害が生じた恐れがあります。

We’ll know more in a few days. There’s a good chance that he suffered neurologic damage.

 

この二つの、患者さんとの会話をまとめてみましょう。

● There’s a good chance that you(/she/he) do(could be …).

あなたは、奥様は、ご主人は、~される可能性が高いです

that以下に患者さんのお名前や人称代名詞を使い、文を繋げるパターンです。

 

エイミ

good chance は、

「~の恐れがある」のような

悪い可能性に対しても

問題なく使えます。

good chance→「良いことに思える…」

というのは和製英語の刷り込みなので、

気を付けてみてくださいね。

 

 

「25%の可能性で…」”There’s a 25% chance” の使い方

 

Dr.ナミ

次は、「~の可能性は●%です」

とパーセンテージを示す

表現だニャ。

 

◆「可能性は〇%

Dr. コバーン:フットリングブリーチの場合、(経腟分娩では)大きな合併症が起こる可能性が25%あります。帝王切開だと2%です。

With a footling breech, there’s a 25% chance of major complications. It’s less than 2% with a C-section.

妊婦:つまり、(経膣でも)安全に生まれる可能性は75%あるわけですね。

But that’s a 75% chance that the baby will born without any problems.

 

さて、ここでは、

● There’s a 25% chance of A.

A(病名、状態)が起こる可能性は25%ある

chance の後に of を使って名詞を繋いでいます。

 

エイミ

もう一つ、

There’s a X% chance of A.

の表現を

別の医療ドラマからご紹介しますね。

 

医師:(あなたが)手術中に亡くなる可能性は9割です。または、1割の確率で治ります。

“There’s a 90% chance of dying in surgery. Or a 10% chance of a cure.”

患者:厳しい数字だな。

“Not great odds.”

(「ニュー・アムステルダム」より)

 

文を繋げたい時には、ERの妊婦さんの台詞のように、There’s a X% that SV. とすれば大丈夫です。

 

「可能性は低い」も “There’s a good chance” 

 

ここまで「可能性がある、高い」の表現を見ていきました。

ついでに、「可能性が低い」の方もチェックしておきたいですよね。

 

Dr.ナミ

実は「可能性が低い」と言う時でも、

英語ではやはり

“There’s a good chance…” で始めることが

とても多いニャ。

え、「低い」と言いたいのになぜ

“good chance”(高い可能性) を使うの?

と思ったあなたは

この先をチェックしてニャ。

 

◆「手術に耐えられる可能性は低い

難病の子の母:私とわかって手を握ってくるんです。出来ることは何でもしてやらないと…。

He squeezes my hand. He understands me. That means everything that can be done should be done.

Dr. チェン:お気持ちはわかります。でも、ケニス君が手術に耐えられる可能性は非常に低いんです。

Yes, but there’s a good chance that Kenneth won’t survive the operation.

 

このように、「可能性が低い」は、

● There’s a good chance that 主語 not do.

(直訳すると)「主語(人の名前など)がdoしない可能性が高い

というように、後ろの文に not を持ってくることで文を作っています。

 

エイミ

日本語と考え方が違うので、

最初はこんがらがりそうになるかもです。

つまり、

最初に「可能性が高い!」と言って、

その後で「~できない可能性がね!」

と続けるわけですね。

似たパターンの英文をもう一つご紹介します。

 

◆「子を授かれる可能性は低い

チャンドラー:(ドクターの説明によると、)つまり…

It means…

モニカ:結論は?

Wait, Chandler.

チャンドラー:つまり、トライし続けるのは良いけど、自然妊娠の可能性はほとんどないんだって。

It means we can keep trying but there’s a good chance this may never happen for us.

モニカ:そうなの…。

Oh my God.

(「フレンズ」より)

 

ここでは、「望みが実現する可能性はほとんどない、限りなく低い」の意味で

● There’s a good chance that this may never happen.

強い否定 never が使われています。

これも、「可能性が高い →(どんな可能性かと言うと)絶対に実現しない可能性がね」という考え方ですね。

 

Dr.ナミ

ということで

「可能性が低い」も

good chance that…

で表現されることが多いニャ。

ただ時々、slim という形容詞も使われるニャ。

医学の「スリム」は

「ほっそりしている」よりも、

「ほんの僅かだ、極めて少ない」

の意味が大事ニャよ!

最後にERからそれをご紹介するニャ。

 

Dr. コバーン:低酸素性脳障害ね。神経学的回復はほとんど望めないわ。

“Hypoxic brain injury. The chance for complete neurological recovery is slim.”

(「ER」より)

【日本語吹替と英語音声を連続で】

 

この記事が役に立ったら、フォローお願いします!!/

(アイコンをクリックで登録画面へ移動します)

 

 

今回のまとめ

今回は、医療現場で「~の可能性がある」「可能性が高い、低い」という表現をする時、ネイティブがよく使う

There’s a good chance …

で始まるフレーズを9個ご紹介しました。

いかがでしたか?

「possibility」は、意外にあまり出てこないんですよね。(全くではありませんが。)

今回は発音のお話ができなかったなぁ~と思いつつ、長くなってしまったのでここまでです!!

みなさまお疲れ様でした!

また別の記事やポッドキャストでお会いしましょう!

 

-医療ドラマ英会話

執筆者:

関連記事

【ERで学ぶ医療英会話】頭部と頸部の触診1【英語丸ごと解説】

この記事が役に立ったら、フォローお願いします!/ (アイコンをクリックで登録画面へ移動します)     エイミ こんにちは! 医学英語発音コーチのエイミです。   日々仕事に追われ …

【医療の英会話】「症例数は多くない」ネイティブの英語表現を聞いてみよう!

  この記事が役に立ったら、フォローお願いします!/ (アイコンをクリックで登録画面へ移動します)     エイミ こんにちは! 医学英語発音コーチのエイミです。   最 …

穿刺針やカテーテルを「入れる」ネイティブが使う動詞5つ  まとめ

この記事が役に立ったら、フォローお願いします!/ (アイコンをクリックで登録画面へ移動します)     エイミ こんにちは! 学会英語発音コーチのエイミです。   カテーテルを入れ …

【第111回】診療英会話〜妊娠高血圧症疑いの妊婦さんとその夫とお医者さん

この記事が役に立ったら、フォローお願いします!/ (アイコンをクリックで登録画面へ移動します)     今回は ER から 妊娠高血圧症(preeclampsia)疑いの妊婦さんと、主張の強 …

【第37回】大動脈解離の術後ブリーフィングを ER で練習【1】

この記事が役に立ったら、フォローお願いします!/ (アイコンをクリックで登録画面へ移動します)     エイミ こんにちは! 医学英語発音コーチのエイミです。   今回は「ER の …

最新記事

  1. 【L、dL、mL、µL】を英語でちゃんと発音するコツ
  2. 【第128回】英語「コッホの三角」「ファロー四徴症」「紹介状」の正しい発音
  3. 【学会レポ】Vol.13 発表は「1分100ワード」で話せ
  4. 学習歴10年以上の内科医が語る「英語学習の壁と突破法」~ 失敗からわかった本当に効果的な勉強法
  5. 【第35回】「コックス比例ハザードモデル」 の英語発音のコツ
  6. 【第49回】オーバーイージーとは? 英語圏の「目玉焼きの焼き加減」4つ
  7. 【生徒さんの声】留学経験ゼロから英語で学会発表が出来るように!
  8. 【第55回】患者さんへ術後の回復過程説明を英語で 前編
  9. 【第35回】「コックス比例ハザードモデル」 の英語発音のコツ
  10. 【生徒さんの声】日々の診療で自信を持って英語で説明できるようになりました
  11. “f”と “v” の発音のコツ【ERとフレンズで解説】
  12. 【第103回】品詞に注目すればネイティブっぽく英語が話せる
  13. 【第95回】”Does”, “Did”, “any” は「ダズ」「ディド」「エニィ」じゃない! 英語発音・リスニング攻略法
  14. 【学会レポ】Vol. 1 「録音しよう!」の巻
  15. 【第10回】「英語の母音はどの程度の完璧さを目指すべきか」を考えてみる
  16. 「mg/m2」を英語で正しく読もう!【ERで解説】
  17. 【第21回】英語で「酸素飽和度は97」ネイティブはどう言う?
  18. 【CT、顕微鏡、腹腔鏡の英語】まとめて発音解説するよ!
  19. 【プラチナ製剤4種類】を英語で正しく発音しよう!
  20. 【第60回】留学経験なしでも大丈夫! 英語力ゼロから英会話講師になった私の勉強法
  21. 【第50回】「変異株」と「株をやる」と野菜の「蕪」を英語で
  22. 【第152回】英検準1級で解説!ディクテーションするなら発音記号の理解が必須です
  23. 【第66回】ER 鉄パイプ貫通治療シーンから英語学習 前編
  24. 【リンパ腫】リンフォーマを英語で正しく発音するコツ
  25. 【第1回】t と s がくっ付く英語の発音のはなし
  26. 「メイヨークリニック」の発音はまさかのアレと同じです!
  27. 【第106回】座長の英語例文「セッションを予定の時間で進行させる」
  28. 【第102回】診療英会話〜再診患者さんへ「どうですか」英語でどう言う?
  29. 【第91回】医学論文の TAKE-HOME MESSAGE で英語の発音練習1
  30. 【第119回】”長い英文(英語のかたまり)” を自然に発音するコツ
エイミ
医療英会話の発音とリスニングの専門家。英検、OET、学会発表、外来での診療英会話、舌トレなどのオンラインレッスンを提供中。20代後半から英会話習得をスタートし、最初は「センキュー」以外一言も話せない英語音痴だった。日本人にとっての理解しやすさを追求した解説と「トレーニングは楽しく!」が信条。ERが大好き。University of Baguio, Associate in Hotel and Restaurant Management卒。TOEIC 935点。

詳しいプロフィールはこちらからどうぞ。