医療ドラマ英会話

ERで覚える!98°F はつまり何 °C?微熱、平熱、低体温、医療の「華氏」数字まとめ

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今回は「医療における華氏(°F)と摂氏(°C)」のお話です。

日本をはじめ世界のほとんどの国が温度の単位に摂氏(°C)を使用していますが、アメリカは今も華氏(°F)なのでややこしいですね。

ER の診療場面で、華氏の温度感覚 を掴んでいきましょう!

 

華氏の体温の読み方、臨床現場では?

エイミ

こんにちは!

医学英語発音コーチのエイミです。

 

私たち日本人英語学習者にとっての厄介事の一つに、「日本と英語圏での単位の違い」があります。

その中で今回は、温度の単位、

華氏

ファーレンハイト

Fahrenheit /fǽr(ə)nhàɪt/ 

に注目して学習していきます。

まずはざっくりと「華氏と摂氏の違い」をまとめます!

 

1.  口頭ではどう読む? 「ファーレンハイト」と言うのか?

最初に、「この方の体温は〇度です。」を華氏で、英語で言う時、どういえばいいのかを確認したいと思います。

たとえば摂氏36.6度は、華氏では 98度 です。

これを最大限正確に英語で言うと、数字の後に degrees と Fahrenheit を付け、このようになります。

Her/His temperature is ninety-eight degrees Fahrenheit.

「体温は、華氏、98度です。」

ただ、通常、最後の Fahrenheit、「華氏」は取り除かれます。日本で「摂氏」と言わないことと同じです。

そうすると

Her/His temperature is ninety-eight degrees.

「体温は98度です。」

となります。

この時、degrees の 複数形の s は大切です。

忘れないように気をつけます。

そしてこれが医療の臨床現場であり、その時の会話メンバー内で明らかに体温の話であるとわかる場合、His や Her は省略されます。

さらに degrees さえも省略されることが多くなります。

そうすると、

Temperature’s ninety-eight.

「体温、98です。」

これがアメリカで「体温36.6°Cです。」という時の最終形態です。

ファーレンハイトも、ディグリーズすらも言わなくても良く、数字だけで大丈夫なんです。

少しだけ心が軽くなりませんか。

 

2. 華氏は摂氏よりもずっと数字が大きくなる

我々日本人からすると、華氏で数字を聞くと、とてもびっくりしてしまいます。

なにせ数字が大きいです。

たとえば体温なら、微熱レベルの摂氏37度は、華氏98.6度です。

98.6度とはどんな高熱なのか? と感じてしまいますが、37度です。

気温の話で、秋冬に、アメリカ人が「今日は40度しかないよ〜」といえば、それはたった4°Cです。

 

3. 計算式は複雑なので、数字そのものを覚える方が早い!

数字が大きくなるのであっても、「摂氏を2倍すれば華氏になる」など単純な話であれば良かったのですが、そうは問屋が卸しません。

以下のように、華氏と摂氏の換算計算式は複雑です。

℃ × 1.8 + 32 = °F

(℉ – 32) × 5/9 = °C

そのため、私がもし米国の医療や福祉現場で働くのなら、よく聞く数字をとりあえず記憶しようとすると思います。

今の世の中、ネット上に一発変換してくれる便利なサービスはありますが、毎日毎日、仕事中に逐一検索するわけにもいかないと思うので、もう覚えてしまった方が手っ取り早いような気がするんです。

イメージは九九の暗記です。

ちなみにこちらのYouTube動画が、華氏の数字がなぜこのような値に決まったのか、世界に広まっていった歴史、廃れた経緯など をとてもわかりやすくお話しになっています。

英語ですが、おすすめです!

[01:40]

華氏は18世紀初頭に非常に役に立ちました。

Fahrenheit was really useful in the early 18th century.

当時、体温を測定する一貫した方法を実際に持っていた人は誰もいませんでした。しかし、ドイツ人の科学者が1714年に水銀温度計を発明した時に、彼は華氏の尺度を思いつきました。

At the time, no one really had a consistent way to measure temperature. But then a German scientist, came up with the Fahrenheit scale when he invented the mercury thermometer in 1714.

尺度を作るため、もっとも一般的な説となっているものは、彼が「0°F」を「氷、水、塩」の混合物で定めたというものです。

To make the scale, the most popular theory is that he picked the temperature of an ice/water/salt mixture at the zero mark.

次に彼は、塩混合物よりも高い「水の凝固点」を「32°F」に設定しました。

He then put the freezing point of water, which is higher than a salt mixture, at 32.

次に人間の平均体温を「96°F [35.5°C] 」としました。(これは実際は98.6°F [37°C] です。)

And placed the average temperature of the human body at 96. (It’s actually 98.6°F.)

そこから、水の沸点を212°Fに設定しました。

From there, he placed the boiling point of water at 212 degrees.

1724年、ファーレンハイト氏はこの尺度を公式化し、英国王立協会に導入させました。そこで彼のシステムは大ヒットしました。

In 1724, Fahrenheit formalized that scale and was inducted into the British Royal Society, where his system was a big hit.

発熱、熱発」は 99.5°F 以上から

それでは今からERで「体温◯度です」とはっきりと数字が出てくる場面を複数ご紹介します。

ドラマを通して、「華氏何度は摂氏何度」と、出来たら覚えてしまいましょう!

ERでは、華氏体温は 0.5 刻みで表現されています。

まずは発熱場面です。

 

◆ 101°F は「38.3°C」

Dr. ベントン:スーザン、どうした?

Susan, what’ve you got?

Dr. ルイス:末期のエイズ患者よ。多剤の化学療法、8度3分、不正脈。

End-stage AIDS patient. Multiple meds, temp 101, tachy.

 

● 102 °F は「38.8 °C」 

看護師ハレイ:38度8分です。

Temperture’s 102.

Dr. グリーン:(患者の女の子の首を下に傾けて)これは痛い?

Does that hurt?

患者ジョアン:痛い。

Yeah.

Dr. グリーン:痛いね。最近ご家族でほかに体調を崩した方はおられますか。

Yeah. Has anyone else in your family been sick recently?

ジョアンの母親:いえ、みんな元気ですけど。

No, we’ve all been fine.

 

◆ 102.5 °F は「39.1 °C」

Dr. ロス:血圧70の50、脈拍120、呼吸32、体温39.1度酸素飽和度は85しかない。

Pressure’s 70 over 50. Pulse is 120, resps 32. Temperature’s 102.5. Pulse ox is only 85 percent.

 

◆ 106 °F は「41.1°C」 

Dr. グリーン:マリーク、(低体温の患者が搬送されてくるので)温めた生食の点滴を用意してくれ。6本、温度は41度だ。ウェンディは、温めた毛布と、マットレスを。ジェリーはベントンを呼んで待機させてくれ。

Malik, we need heated saline IVs. Warm up half a dozen to 106 degrees. Wendy, get heated blankets and a mattress. Jerry, call Benton, tell him we may need him down here.

看護師キャロル:腹膜の温水灌流は?

Heated peritoneal lavage?

Dr. グリーン:うん、頼む。さあ、時間がないぞ。急げ!

Yeah. That’s right. Let’s go, now. Come on, let’s go.

 

95°F 以下で「低体温」

続いて低体温場面です。

二つ続けてご紹介します。

一つ目のカーターの場面には「気温」と「体温」が両方出てきますので、両方、学習材料としていければと思います。

 

◆ 気温40°F は「4°C」、体温86°F は「30°C」

Dr. カーター:昨日の夜は4度だったから、(一晩外で倒れていて搬送されてきたこの患者は)低体温だ。救えるかもしれない。

It was 40 degrees last night. He’s hypothermic. We might still get him back.

(中略)

看護師アビー:深部体温は30度。

Core temp is 86.

Dr. マルッチ:酸素飽和度86。

So is his pulse ox.

↑この台詞はとても大事です。

看護師のアビーが「体温86度です」と言った後、カーターと一緒に治療にあたっている医師のマルッチが、「酸素飽和度も86だ。」

So is his pulse ox.

と、パルスオックスの数値も同じ数字である、と言っています。

もしこの現場に私たちが居合わせたら、まず体温はつまり何度なのかをさっと理解しないといけませんし、さらに So is his pulse ox. を一発で聞き取り、その意味を理解しなければいけません。

これはかなり修行というか、慣れが必要かもしれないです。

 

◆ 体温82°F は「28°C」(長時間水中で身体を冷やされた患者の救出場面です)

Dr. グリーン:血算、電解質、血液ガスに凝固機能。深部体温は?

CBC, lytes, blood gas and coags. What’s his core temp?

看護師ウェンディ:28度です。

82 degrees.

Dr. グリーン:低すぎる。加熱加湿酸素を与えて。

That’s too low. Put him on heated humidified 0-2.

看護師:加熱生食来ました。

Heated saline.

 

「発熱」「微熱」「平熱」「低体温」華氏の数字まとめ

さてここで、微熱、平熱、低体温の華氏の数字を、確認しておきたいと思います。

「発熱」のラインは、一般的には摂氏37.5度程度からであると思います。

その摂氏37.5度は、華氏99.5度です。

 

100 で「はっきりと発熱(37.7°C)」。

99 から「熱っぽい、微熱(37.2°C)」。

● 99.5°F = 37.5°C

● 99°F = 37.2°C  

96 から 98 あたりが「平熱」 。

● 98°F = 36.6°C

● 97°F = 36.1°C  

● 96 °F = 35.5°C

95 を下回ると「低体温(35°C以下目安)」。

●︎ 95°F = 35°C 

 

こんな感覚になるかと思います。

一つ、二つ、覚えやすい数字や重要な数字から記憶していくと、そこから段々、肌感覚として馴染んでくるかと思います!

 

【気温、水温】「40°F」は4°C!

最後に、気温や水温が華氏でどのくらいの数字になるのかもおおまかに確認しておきたいと思います。

カーターが「昨日は40°F(4°C)だった」と、気温の話をしているところもありましたね。

小数点以下は切り捨ててご紹介します。

● 0°F = -17°C

●︎ 10°F = -12°C

●︎ 20°F = -6°C

●︎ 30°F = -1°C

●︎ 32°F = 0°C

●︎ 35°F = 1°C

●︎ 40°F = 4°C

●︎ 50°F = 10°C

● 65°F = 18°C

●︎ 70°F = 21°C

●︎ 80°F = 26°C

●︎ 90°F = 32°C

●︎ 100°F = 37°C

●︎ 105°F = 40°C

●︎ 106°F = 41°C

 

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今回のまとめ

今回は、アメリカとジャマイカでだけ今も使われている温度の単位、華氏の温度感覚 についてまとめました。

口頭でも文章でも、温度を伝える時「ファーレンハイト」という必要は基本的にありません。

● Temperature’s 数字 degrees.

(ディグリー「ズ」の「ズ」をお忘れなく!)

または

● Temperature’s 数字.

でOKです。

また、体温で大切な数字として、以下のようなものがラインとなるかと思います。

100 で「はっきりと発熱(37.7°C)」。

99 で「熱っぽい、微熱(37.2°C)」。

96 から 98「平熱(35.5°C~36.6°C)」。

95以下で「低体温(35°C以下)」。

また、英語学習をする時、「表現」と「発音」はどちらも同じくらい大切です。

表現や英単語は知っているのに聞き取れない、言っても通じない、ということはとても良くあります。

そのようにならないよう、「音」も合わせて学習するように習慣付けていきましょう。

それではまた一緒に英語学習しましょう!

 
 

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エイミ
医療英会話の発音とリスニングの専門家。ER先生。舌トレ先生。英検先生。
20代後半から英会話習得をスタートし、最初は「センキュー」以外一言も話せない英語音痴だった。日本人にとっての理解しやすさを追求した解説と「トレーニングは楽しく!」が信条。ERが大好き。University of Baguio, Associate in Hotel and Restaurant Management卒。TOEIC 935点。

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