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今回は ER から 妊娠高血圧症(preeclampsia)疑いの妊婦さんと、主張の強いその夫、夫の対応にあたるグリーン医師の会話 を紹介していきます。
「治療方針に対して要求が多すぎる」「自己主張が強すぎる」など、医師にとって対応に困るクレーマー的な患者さんやその家族の方が、時に存在するかと思います。
そんな方へどのように声掛けをするか、グリーン先生の台詞が一つの参考になればと思います!
ポッドキャストは、個別レッスン受講生さん用にお作りしている音声データの一部を公開しています。
ラジオは通常速度で09分15秒ニャ。
早く聞きたいあなたは倍速などでどうぞ!
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ERの診療場面でリスニングチャレンジ!
こんにちは!
医学英語発音コーチのエイミです。
最初に ER から会話を聞いて頂き、何を話しているのかを考えてみましょう。
今回の患者さんは、出産予定日まであと2週間に迫った妊婦さん、チェンさんです。
救急医のDr. グリーンが診察にあたっていますが、チェン夫人本人は一言も言葉を発することはなく、代わりに診察に立ち会う夫が、語気荒くなにやらグリーン先生へ詰め寄っている…という場面です。
二人はどんな会話を交わしているのでしょうか?
それでは、どうぞ!
◆ リスニングチャレンジ「朝からずっと…しているんです」
ネイティブの発話なのでとても難しいですが、2回、3回と聞き返して、出来るだけ頑張ってみてください!
ポイントとなりそうな部分としまして、
患者の夫が最初に「妻は繰り返し~しているんです」と言っていますが、何を繰り返していると言っているでしょうか?
そして「~をして欲しい」とグリーン先生に繰り返し頼んでいますが、何を頼んでいるのでしょうか?
そしてその要求に対して、Dr. グリーンは何と答えているでしょうか?
出来るだけ頑張って聞いて、考えていただけたら、下で答え合わせをしましょう!
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◆ 答え
患者の夫:でも妻は朝から嘔吐しているんですよ。陣痛を促した方が良いんじゃないでしょうか。
But she’s been throwing up, maybe you should induce labor.
Dr. グリーン:まだその必要はないでしょう。[妻へ] チェンさん、腹部の痛みや出血はありませんか?
That’s a little extreme right now. Mrs. Chang, have you had any cramps, bleeding?
妊婦: [無言で首を振る。]
患者の夫:胃ですよ、胃!
It’s just her stomach.
Dr. グリーン:[妊婦へ] 子癇前症(妊娠高血圧症)と呼ばれる症状かもしれません。血圧が少し高いので。検査結果が戻れば、もっと詳しくわかります。
You could have a condition called preeclampsia. Your blood pressure’s a little elevated. But we’ll know a lot more when we get your tests back.
患者の夫:お腹の子どもが心配だ。どうして陣痛促進しないんですか?どうせあと2週間なんです。
Maybe the baby’s in trouble. I mean, why not induce? It’s only 2 weeks away.
Dr. グリーン:奥さんは我々がしっかり治療します。少し落ち着きましょう。
We’re gonna take care of your wife. Why don’t you try to stay calm?
答えはこんな感じでした!
少しでも聞き取れたあなた、素晴らしいです。
ただここで終わらせたらもったいないです!
もう少し突っ込んで学習すればもっともっと英語が聞き取れるようになるので、もう少しだけ頑張りましょう!
今回の学習ポイント
それでは学習ポイントをまとめます!
患者の夫:でも妻は朝から嘔吐しているんですよ。陣痛を促がした方が良いんじゃないでしょうか。
But she’s been throwing up, maybe you should induce labor.
太字部分は強く、細字部分は弱く、発音されています。
● “But she’s been throwing up.”「繰り返し嘔吐しているんです。」
旦那さんは妻が “throw up”「戻す、嘔吐する」をしていることを、have been doing、現在完了進行形を使い、その行動・状態が時間をかけて続いている ことを示しています。ドラマの和訳では「朝から戻しているんですよ。」(おそらく今お昼か夕方頃?)となっていて、素晴らしい訳だなと思い、そのまま書かせてもらいました。英語では「朝から」なんて言っていませんが、日本人が言うならまさに「朝から/昼から/夕方から何度も戻しているんです。」などのようになりそうだと思います!
● “Maybe you should induce labor.“「陣痛を促した方が良いんじゃないですか。」
“induce” 「促進する、誘発する」 。原義は [in(中へ)duce(導く)]。やや難単語ですが、お医者さまはお仕事柄、ご存じの方が多い印象です。何かを誘発させたり引き起こりたり、ということで、今回は “labor” 「陣痛」を induce したらどうなの?と、患者の夫がグリーン先生へ提言しています。
Dr. グリーン:まだその必要はないでしょう。[妻へ] チェンさん、腹部の痛みや出血はありませんか?
That’s a little extreme right now. Mrs. Chang, have you had any cramps, bleeding?
妊婦: [無言で首を振る。]
患者の夫:胃ですよ、胃!
It’s just her stomach.
灰色文字はほぼ発音されていません。
● “That’s a little extreme right now.“「まだその必要はないでしょう。」
“extreme(形)” 「過激な、極端な」。直訳すると「それは今の時点では極端な判断だ」のようになります。治療方針について患者の夫から強く提言を受けたグリーン先生は、まずはこの一言で、興奮している家族を諫めています。また、「今」それを行うのはやりすぎだろう と “right now” を付けていることで、仮に後で陣痛誘発が必要になったとしてもそれはその時点で判断してのことである、という表現になっています。
● “Have you had any cramps, bleeding?“「おなかの痛みや出血はありませんか?」
“cramp” は筋肉が引きつる痛みを表します。今回のように妊娠している女性へ cramp(腹痛)はないか? のように使うほか、女性の月経時の生理痛に、またふくらはぎの痙攣 「こむら返り」の意味でも cramp が使われます。
・ I have period cramps. 「生理中でお腹が痛いです。」
・I have a muscle cramp in my leg and it hurts to walk.「こむら返りしてしまって、歩くのが痛いです。」
“bleeding(出血)” に関しては、グリーン先生は部位を述べていませんが、妊娠時にこのように聞けば通常は「膣からの出血がないか」という質問です。
Dr. グリーン:[妊婦へ] 子癇前症(妊娠高血圧症)と呼ばれる症状かもしれません。血圧が少し高いので。検査結果が戻れば、もっと詳しくわかります。
You could have a condition called preeclampsia. Your blood pressure’s a little elevated. But we’ll know a lot more when we get your tests back.
● “You could have a condition called preeclampsia.“「妊娠高血圧症と呼ばれる状態かもしれません。」
“You could have a condition called 病名. “ は、患者さんへ疾患の疑いを伝える時にER でよく使われる決まり文句的な表現です。精密検査前には could、より確度が高まれば may、と助動詞は変化します。 続く “We’ll know a lot more when we get your tests back.” も、診察室での頻出表現です。
患者の夫:お腹の子どもが心配だ。どうして陣痛促進しないんですか?どうせあと2週間なんです。
Maybe the baby‘s in trouble. I mean, why not induce? It’s only 2 weeks away.
Dr. グリーン:奥さんは我々がしっかり治療します。少し落ち着きましょう。
We’re gonna take care of your wife. Why don‘t you try to stay calm?
● “We’re gonna take care of your wife. Why don’t you try to stay calm?“「奥さんは我々がしっかり診療します。少し落ち着きましょう。」
“Why not induce?”(どうして陣痛促進しないんですか?)と治療方針への希望を強い口調で述べる夫へ、グリーン先生が「落ち着いてください」と返事をしています。患者さんやご家族からこのように言われた時、理由を理論的に説明しなければ、というのもあると思うのですが、その前にまず一言、「落ち着いてください、後でちゃんとお話ししますから。」とお伝えになってみるのはいかがでしょうか。また、もし Why don’t you の語感が強すぎるようでしたら、
I wonder if you could try to stay calm.「少し落ち着いて頂けたらと思うのですが。」
などに変えてもらうと良いのではと思います!
今回の内容をポッドキャストでもどうぞ!
ラジオは通常速度で09分15秒ニャ。
早く聞きたいあなたは倍速などでどうぞ!
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今回のまとめ
今回は ER を使ったレッスンの一部をご紹介しました。
特に学習ポイントとなりそうな部分をまとめます。
● 「まだその必要はないでしょう。」
“That’s a little extreme right now.“
今その投薬・処置などを行うのは段階的に速すぎる。今はまだそれを考える病状にない。というニュアンスの一言です。
● 「妊娠高血圧症と呼ばれる状態かもしれません。」
“You could have a condition called preeclampsia.“
● 「奥さんは我々がしっかり診療します。少し落ち着きましょう。」
“We’re gonna take care of your wife. Why don’t you try to stay calm?“
要求が過激であったり、主張の強い患者さんやご家族の方へ、落ち着いて欲しい旨を伝えるための一言として。
英語が話せるようになるためには、「表現を覚えて、ネイティブが実際にそれをどう発音しているのかをしっかり聞いて、自分でも同じように発音して、マスターする」というのが一番いいのではないかなと私は思っています。
私は発音オタクであり、リスニングオタクであり、海外医療ドラマオタクなので、医療表現のストックはかなり揃ってます!
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また一緒に英語学習しましょう!