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目次
「第二言語習得論」とは?
こんにちは!
医学英語発音コーチのエイミです。
今回は英語の学習法の一つ、
「暗示的学習」は、医師にも役立つのか?
というトピックで、皆さんとお話ししていきます!
先日、あるお医者様から、
「暗示的学習」という英語学習法について最近知ったのですが、これは医師にも役に立つものなのかどうか、意見を聞かせてもらえませんか。
とご質問をいただきました。
今回は、
・「暗示的学習」とは何なのか?
・それは医師の英語学習にも有用なのか?
について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
まず、「暗示的学習」とは?というところなのですが、これは、「第二言語習得論(Second Language Acquisition: SLA)」という、世界的な論説に登場する専門用語です。
第二言語習得論は、「人は第二言語を身につける時にどんな過程を経るのだろう?」という学問的な視点から、1960年代頃にアメリカやイギリスを中心に言語学や心理学の分野で始まった研究分野です。
へぇー、「第二言語習得論」?
初めて聞いたよ!
サトシ先生、知ると気になる存在ですよね!
英語学習の最中に「第二言語習得論」に出会われて、興味を持たれる英語学習者さんは多くおられます。
私のレッスンの受講生様からも、時に名称を伺うことがあります。
これを知れば、僕らの英語習得に役立つの?
この考察は、「すぐに役立つ学習法」を教えるようなものというより、
第二言語習得におけるメカニズムを解明するための基礎研究的なものです。
ですので、受け取る側は正しく解釈する努力をして、
自分の学習に適切に応用していくことが大切です。
「こうすればいいよ」というシンプルな指南書ではないんだね。
その通りです。
ということで、今から一緒に学習していきましょう!
「明示的学習」「暗示的学習」とは?
第二言語習得論には、「明示的学習」と「暗示的学習」という、2つの専門用語が出てきます。
「明示的学習」とは、英語で “explicit learning” と呼ばれます。
<ウィズダム英和辞典より>
explicit は、「はっきりとした、明確な」という意味の形容詞で、簡単に言い換えるなら “clear” です。
clear な学習、 「明示的学習」とは、
ある学習テーマに対して「これを学ぼう」という意識をはっきりと持って学ぶことを指します。
英語学習であれば、
「英語を身につけたいから、単語を覚えよう」
「英語を身につけたいから、文法を勉強しよう」
「英語を身につけたいから、発音練習をしよう」
などの学習が、明示的学習です。
明示的英語学習での学習目的は、「英語を身につけること」です。
それに対して、「暗示的学習」は、英語では “implicit learning” と呼ばれます。
<ウィズダム英和辞典より>
implicit は、英検やTOEICなどの英語系試験を学習されたことのある学習者さんなら馴染みのある動詞、imply「暗に示す」の仲間となる形容詞で、「潜在する」「それとなく存在する」という意味合いを持ちます。
英語系試験で、”What does the man imply?”
っていう問題がよく出題されるよね。
これは「男性は何を暗に示していますか?言わんとしていますか?」
という意味の問題だよね。
implicit learning は、「暗示的学習」のほかに、「無意識的学習」と和訳することが出来ます。
「潜在する」「それとなく存在する」学習、つまり「一番強い意識はそこに向いていないけれど、実は学習が潜在している」といった意味合いです。
たとえば、大谷翔平さんは、「英語そのもの」には大きな興味はお持ちではないかもしれません。
しかし大谷さんは野球を愛し、野球人生に集中されています。
その結果、「大リーグで活躍する」という目標を持たれ、「そのためには英語を話せるようになることがサブ目標である」となり、ご自身が必要とされる英語が話せるようになられています。
「興味のある分野の英語コンテンツに触れ続けていたら、気づいたら英語力が高まっていた」
このような状態が implicit learning、「無意識的(暗示的)学習」です。
暗示的学習での学習目的は「英語を身につけること」ではなく、「その先にある別のもの」です。
「英語ができるようになりたい!」
が目的になっているのが、明示的学習。
「私にはこういう目標があって、そのためには英語ができるようになることが必要。だから英語をやっている」
という考え方が、暗示的学習なんだね。
第二言語習得論では、「明示的学習」と「暗示的学習」はどちらも必要であり、この2つをバランス良く行うことで第二言語が習得できる、と考えられています。
「暗示的な学習と明示的な学習」についてのまとめ
・日本人には「英語ができるようになりたい」と望まれて英語学習をされている人が多くおられます。
・ただ、その中には、「英語で “何が” 出来るようになりたいのか」をしっかりと考えずに学習されている方もおられます。
・そうすると、「単語帳をやる」「文法書をやる」「発音練習をする」のような「明示的学習」のみに留まってしまい、いつまで経っても思うように英語が話せる状態に到達できない、ということがあり得ます。
・「英語 “を” 学ぶ」ことは、もちろん大切なことです。
・そのうえで、それだけではなく、「英語 “で” やりたいことをやる(その最中に、気づけば英語のわからないところを勉強している)」という「暗示的学習」を意識して取り入れることで、英語を話せるようになり、聞き取れるようになり、思い描く未来に達することが出来る可能性が上がっていきます。
・「私は英語で何をしたいのか?」を常に意識して、英語学習を積み重ねていきましょう!
「目的と手段」を見定めて、
「手段」である英語が「目的」にならないように
気をつけたいね。
医師が「暗示的に」英語を学べる教材
さて、「暗示的に学習することは医師にとっても役に立つと思うか?」というのが、今回いただいたご質問でした。
間違いなく、役に立つと私は思います!
暗示的学習とは、「自分がやりたい英語からの、逆算の英語学習」のことです。
医師にとっての「暗示的英語学習(逆算的英語学習)」とは?
それは、
・英語の医学論文
・専門科に特化した英語ポッドキャスト
・医師や医療者のために作られた英語のYouTube
・ERなどの医療ドラマ
などを使って、これらを理解出来る自分になりたい!という気持ちを持って、楽しみながら行う英語学習のことです。
これはもっとも大きな成長の見込める学習です。
第二言語の習得は、「自分がやりたい英語=学習目的」がなければ、基本的には達成されないものです。
もしも「わたしの英語学習の目的って何だろう」と思われる先生がいらっしゃいましたら、たとえば、以下のような質問をを活用して、方向性を明確にしてみてください。
目的地を設定出来ていれば、英語学習で結果を出すことは決して難しくありません。
「医師の英語学習の目標」設定 3つの質問
1.どんな場面で、英語を話したいですか?
例:国際学会で、外来診療で、入院患者さんとのベッドサイド英会話で、海外勤務先で。
2.どんな人に向けて、英語を話したいですか?
例:聴衆の医師へ、発表をしている医師へ、患者さんへ、先輩・後輩・同僚の医師へ。
3.英語でどんなことを言いたいですか?
英語で言いたい内容を、ぜひ具体的に、日本語で、お考えになってみてください。
ここで、これまで私のレッスンを受講してくださった先生方から、「こういったものを日常的な英語学習の相棒としています」と教えていただいた医療系英語学習題材を以下にご紹介します。
ぜひ「暗示的英語学習=楽しんで、好奇心を刺激されながら行う英語学習」で、英語学習を楽しんでいきましょう!
「暗示的英語学習(楽しみながら行う英語学習)」を実践できる医療系英語学習題材(一例)
New England Journal of Medicine 関連のポッドキャストです。
「ハリソン内科学」に関連して、症例や治療戦略の実践的なディスカッションを行っている番組です。
医療英語の表現力と語彙力強化に特化した、医療者向け学習型ポッドキャストです。
ホストのハイディー先生が、医療現場で頻繁に使われる単語やフレーズ、専門的な英語表現について、解説してくれます。
糖尿病専門のお医者様向けのポッドキャストです。米国糖尿病協会のジャーナルに掲載された最新の論文5、6本をピックアップし、要点解説を提供されています。
糖尿病専門のお医者様向けのポッドキャストです。On Air は、一つのトピック・論文を掘り下げ、深く考察する番組です。
循環器専門医のお医者様向けのポッドキャストです。「最新の論文のサマリー+臨床応用」の解説が、多忙な臨床医のために、毎回15分で構成されています。
米国神経学会公式ポッドキャストです。臨床や学会での最新トピックが提供されています。
・FG Podcast (Frontline Gastroenterology Podcast)
英国消化器学会が提供している、消化器専門医のお医者様向けのポッドキャストです。
カナダ人内科医のシボーンさんが、実際に勤務されている病院の許可を得て院内を撮影しながら、患者さんの治療などについて発信されているVログYouTubeです。
「医療ドラマの金字塔」と呼ばれるアメリカの人気作品です。リアルさとストーリーの面白さは類似作品の中で群を抜いています。私自身の最大の英語学習題材でもあります。
・「ブラックジャックによろしく」英語版(”Give My Regards to Black Jack”)
人気医療漫画の英語版です。日本語版と照らし合わせながら読み進めていくと、至高の英語学習が可能です。なんと無料で公開されていますので、マンガがお好きな方はぜひ!
今回の内容をポッドキャストでも一緒に学習しましょう!
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今回のまとめ
今回は、英語の学習法の一つである「暗示的学習」について、医師の英語学習にも生かせるか?という視点で考察しました。
暗示的学習とは、学習目的を「英語習得そのもの」ではなく、「その先にある別のもの(本当の目的、目標)」に定めた学習を指します。
「本当の目的」にしっかり向き合って英語学習を行なっていれば、自然と「暗示的学習」に手が伸びていくはずです。
あなたの英語学習の「暗示的」「明示的」なバランスはいかがでしょうか?
また、「本当の目的」から遠ざかった英語学習に、寄り道をしすぎていたりしないでしょうか?
時々そのような確認をしながら、英語学習の長いロードを歩んで行くと良いかもしれません。
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それではまた一緒に英語学習しましょう!