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「男性・女性を male / female と表現するのはどうなのか?」という議論に対する一つの答え

投稿日:2019年9月28日 更新日:

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エイミ

こんにちは!

学会英語発音コーチのエイミです。

 

英語で、「63歳男性」。

あなたは a 63-year-old man と言いますか?

それとも、a 63-year-old male と言いますか?

この記事は、

male、female はオス・メスに近い単語だから、発表で使ってはイカン、と言う上の先生がいるのです。でも、それって本当にそうなんですか? 実際、結構使われていますよね?

というある先生からのご質問に対しての、私なりの答えです。

 

もしもあなたが

 

Dr.ナミ

man なのか、それとも male なのか。。

 

と不思議に思われていたら、ぜひ読んで行ってください!

 

 

【結論】man を使うか male を使うかは米語と英語の違い

 

まず結論からお伝えすると、論文や発表で man・woman を使うか、male・female を使うかは、アメリカ英語とイギリス英語の違いです。

 

エイミ

イギリス的にはこれは間違い。でもアメリカ的には全然OK

というのは、英語を勉強していたら

すごくたくさん出てきます。

 

アメリカ人、イギリス人、どちらにもそれぞれ言い分があり、「どちらが正しい」と考えることは、もはや国語や政治の問題に近いです。

そういうものって、難しいですよね。

「man か male か問題」を知る材料として、医療ドラマ ER にとても分かりやすいシーンがありました。

少しそのシーンをご紹介させてください。

 

 

イギリス人のお医者さん、「male」を使って上司から袋叩きにあう

 

ロンドンっ子のエリザベス・コーデイ先生は、アメリカはシカゴの病院で5年ほど勤務した後、故郷のイギリスへ帰国します。

そしてロンドンの病院で働き始めるのですが、そこでイギリス人の上司から、アメリカ帰りの女 としてチクチクと嫌味を言われることになります。

 

そのシーンの一部がこちらです。

 


 

コーデイ先生:マッカイさんは、63歳の白人男性で-

Mr. McKay is a 63-year-old Caucasian male who was –

 

イギリス人上司:「man」だ。

Man.

 

コーデイ先生:(苛ついて)はい?

What?

 

 

イギリス人上司:きみが求めている名詞は「man」でしょう。maleは形容詞だ。僕は「male」の犬を飼っているよ。まぁ、続けてください。ここにいる人は、アメリカの表現はよく知らないからね。

I believe the noun for which you are searching is “man“. “Male” is an adjective. I have a male springer spaniel. But please continue. Most of us speak a smattering of American.

 

(その場にいるドクター一堂、笑う。コーデイ先生、キレる。)

 

 

疲れて、子どもを連れてシカゴに帰っちゃうコーデイ先生。

(イギリス人なのに結局、アメリカに帰る。)

 


 

 

Dr.ナミ

なるほど。。

「男性、女性に male・famaleを使うのはオカシイ」っていうのは、

イギリス英語の感覚なんニャね。

 

Dr.サトシ

でも、アメリカ英語では普通に使うのか。

ややこしいな!

 

Dr.ナミ

じゃー、我々はどうしたらいいのかニャ?

 

 

あとは「個人のスタンス」の問題です(面倒を避けたければ man が恐らく無難)

ここからは、私の個人的な考え方になります。

アメリカ英語とイギリス英語はこういう違いがたくさんあるので、英語学習者である私たちは、一応 自分のスタンス を持っておいた方が良いと思っています。

たとえば、イギリス英語を習ってきた、「英語はやはりイギリスが本場でしょ」と思う、などの人は、こういう場合は「man・woman」一択、ですよね。

ではなく、アメリカ英語を習ってきた、ハリウッド映画やアメリカのドラマが好きだ、などの人は、「manでもmaleでもどっちでも良いんじゃない?」という考え方で良いのではないかと思います。

 

エイミ

私はアメリカ英語学習者で、

基本的には「どちらでもいい」のスタンスです。

 

そして私は、面倒くさいことは避けたい、日本人らしい人間でもあります。

なので、イギリスの方などに

male じゃなくて man だよ」とか、

kids じゃなくて children を使いなよ」とか、

going to はガナじゃなくてゴーイングトゥーだよ

などと言われたら、その場では、その人に合わせてそうします。

 

Dr.サトシ

おい、適当やな!

エイミ

私はどっちでも良いんです。正直。

 

ということで、私のように面倒を避けたければ、「male か man か」の場面で悩むことがあれば、man を使っておく方が無難だろうと思います。

 

ただ、「male は間違いだ!」と日本人が断言するというのは、どうなのかなと感じます。

言葉はどんどん変わっていくもの。
そして、「これが正解」というのは、その人の背景によってそれぞれ。

学習者としては、できるだけ柔軟にやっていけたらいいんじゃないかなと思っています。

 

 

今回のまとめ

◆ 男性、女性を「man / woman」とするか、「male / female」とするかは、英語と米語の違いです。

◆ イギリス英語を話す人は「male / female」をオカシイと感じる人が多いけれど、多くのアメリカ英語話者にとっては、普通の表現です。

◆ 日本人としては、特にスタンスがなければ、「man / woman」を使っておくのがおそらく無難。

◆ アメリカ英語とイギリス英語はこういうことがたくさんあるので、「米語と英語は結構違うんだな」ということを知っておくと、今後、役に立ちます。

◆ 私たちは世界と関わるために英語を勉強している、英語学習者です。表現に気を配ることはもちろん大切ですが、気にしすぎては本末転倒。「拙くとも、英語で伝える、世界と関わる」、そのことを一番に考えていければと思います。

 

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次の記事は、タキサン系薬剤「パクリタキセル」「ナブパクリタキセル」「ドセタキセル」の英語の発音について書こうと思っています。

興味のある方は、こちらもどうぞ!

 

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医学英語・学会英語発音コーチ
エイミ
英語の発声・発音改善の専門家。日本人にとっての理解しやすさを追求した音声解説と、「トレーニングは楽しく!!」が信条。英語は読み書きもできず、センキュー以外何も言えなかったところから習得をスタート。University of Baguio, Associate in Hotel and Restaurant Management卒。TOEIC 935点。

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